2016 / 06 / 17

Digital Camera

マニア心を誘う無骨なリアレンズに相反する優しい描写 Jupiter-12 35mm/F2.8 Leica L 1963年

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レンズとメーカー紹介

自分のオールドレンズ群の中でも比較的初期に買ったままあまり使っていなかったJupiter-12。

準広角のロシアンホワイトで、いい雰囲気を持っていた気がするんですが、とある理由であまり持ち出していませんでした。

Jupiter-12 35mm/F2.8 Leica L 1963年
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理由はこちら

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見事なまでにむき出しでマニア心を誘うリアレンズです。

以前は、いくつもレンズを持ち歩いて、いく先々でレンズを交換していたので、この後玉では怖くてあまり手に取ることが少なくなっていました。

最近はどのレンズがどんな風に写るかだんだんわかってきたので、その日の場所のイメージと天候に合わせてレンズを選べるようにはなってきたかと。

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第二次世界大戦後のドイツからロシアへの賠償の関係で作られたコピーレンズの中でも、ひときわ異質な個性のある外観ながら、写りはスマートで安定感のある描写です。

本日のアジェンダ

・絞り開放近くであまりピントを気にせず雰囲気で撮ることをJupiter12で試す。
・夕方から夜にかけての繁華街の光に挑戦。

線の太さ、シャープ

サラりとしながらも濃いめの線。

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安定した発色ながら、ボケはじめあたりから風合いが出始めてオールドっぽさがとても心地いいです。

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絞りがレンズ前面にあり、回しづらいのもあってほぼ開放にしっ放しで撮り歩きました。

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それでもきっちりとした線の表現。

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その上レンズが軽く小さくので、町歩きでどんどん撮るのに適したレンズかと。

ボケ味

好きなボケ味な感じです。

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開放、飛ばし気味にして周辺光量落ちを巻き込みつつのちょいボケ。

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それでも、絵がちゃんと成立するレンズは一生もんではと。

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ピント面を合わせながらの前後のボケ表現も、F2.8あるとだいぶ容易です。

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最短撮影距離が100cmと少し長めですが、準広角としては問題無い範囲かと。

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ボケ方は素直に溶けながらも輪郭は比較的残る感じでしょうか。

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上の方にも書いたようにレンズがとても軽く、さらにLeica Lマウントだと高さが低いので、バッグにもしまいやすく取り回しがとてもしやすいです。

以前書いたMir-1 37mmと仕様が似ていますが、Mir-1のほうがもう少しシャープでしょうか。

何よりMir-1はM42マウントなので高さがまるで違いますので、持ち歩きに対する感覚もまるっきり違います。

 

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色味、フレア、ゴースト

多少角度によってゴーストがすっと入ってきます。

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それよりも、この時代のコーティングによる白の飽和のほうが気になるかと思います。

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飛ばし気味にするとなんだかわからなくなる恐れはあります。

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とはいえそのギリギリを狙うのが好きではありますが。

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購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考

購入はeBayで、va1entin というロシアの100% positive feedbackの業者から送料込みで約10,000円。

Jupiter-12 LOZS 35mm/F2.8 100cm Leica L mount 1963年
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コンディションは、Lens is in excellent condition. Rare silver version, made in 1963. Glass is clean and clear, aperture blades are oil free, focusing and aperture rings moves perfectly! Body have light signs of wear. Comes with both caps (aftermarket) and original bakelite case.
と書いてある通りでした。
もろもろいい状態だと思います。

eBay市場では後期の黒バージョンもあるみたいで、こちらはもう少し安く購入できるようです。

また、後玉は付け替える時に、
「あっ」
って落としそうでとても怖く、実際落ちてしまった傷物が市場に出ている可能性がありそうです。

落としたら即、傷のレンズ。
後玉の傷は写りに影響が出るようなのでご注意を。

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上手く撮れたと思う写真の振り返り、分析

わかりづらいかとも思いますが、奥の人が斜め後ろを振り返ってます。

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振り返ってくれたおかげで、手前と中間と奥のストーリーができて、とてもストリート写真っぽくていいのではと。

奥の人を待っていたわけでは無いんですが、構えていたところに入ってきてくれて、たぶん車か何かの安全確認をしたんじゃ無いかと。
すかさずシャッターを切りました。

最近こういう個人がわからない程度に写真の要素として人を入れ込む楽しさもわかってきました。

少し足りない写真の反省、分析

もう少し上手く撮れているかと思ったんですが、紫陽花側の光が寂しい感じがします。

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実は最近、こう言ったスマホ用のLEDライト持ち歩いているんですが、これの効力も試したくて夜歩きもした感じでもあります。

電池単体で光るので、少しだけ光量が欲しい時に良さそうだなと思ったんですが、全然自販機に負けてました。
もう少し試してみたいと思います。

向いている撮影の方向性、ポートレートレンズとして

1mの最短撮影距離は、ポートレートしては無理でしょうが、風景と合わせた描写ならかなり使いやすいレンズではと思います。

何度も書いてますが、軽くて小さくて持ち歩きしやすいのは、街撮りとしてはかなり有利な条件だと思います。
特にα7なら本体も小さいので、バッグに忍ばせておけるよく写るセットかと。

歩いた辺り

何日か分をまとめての投稿なので、場所がまばらです。

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いつもの代々木公園あたりと、富ヶ谷付近、それと表参道を青山方面から明治神宮まで歩きました。
表参道はもっと光だらけのイメージでしたが、案外暗いところも多いんだなとの印象です。

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夜街歩きはまたやってみたいと思ってます。

撮影情報

カメラはSONY α7Ⅱ、画質はraw非圧縮、現像ソフトはPhotoshopCS6で写真によっては多少「露光量」「白レベル」を調整していますが、そのままの撮って出しも多いです。

絞りはほぼずっと開放、シャッター速度はすぐぱっと撮りたかったので1/200でブレを起こりづらくしています。ISOはいつも通り最後の調整用です。

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ホワイトバランスは、曇りだったので昼間は「曇り」プリセット、夜は店舗の明かりに合わせてちょこちょこプリセットを変えて気に入ったものにしています。
実際の色よりファインダーでの雰囲気の色を見てました。

Digital Camera

 

“マニア心を誘う無骨なリアレンズに相反する優しい描写 Jupiter-12 35mm/F2.8 Leica L 1963年” のコメント

  1. 久世 定 より:

    記事を興味深く拝見しました…。。。
    私も、同じレンズを入手し、ミラーレス一眼で使ってみようと思っていました。
    実物を入手し、ボディに付けてみるとファインダーでは綺麗に像を見ることができましたが、レンズの後玉が大きく飛び出ているので、カメラのシャッター膜と干渉しないかと心配しており、シャッターは切っておりません。貴兄の本記事では、カメラをSONYのαIIを使用されているようであり、奇しくも私のカメラと同じであります。カメラのシャッター膜との干渉は全然問題ないのかどうか、情報をいただければ幸いです…。。。

    • Hidekatsu より:

      コメントありがとうございます。
      無骨なレンズの輝きいいですよね。
      試してみたくなったお気持ちわかります。

      撮影が少し前ではありますが、シャッターの干渉等は全然大丈夫だったと思います。
      ミラーレス機ですと、シャッターを切る時に外部で物理的に動くものはないはずなので、きちんとレンズが装着されて、プレビューに何か変な影など出ていなければ大丈夫なはずです。
      いかがでしょう。

  2. kuse より:

    ご回答ありがとうございました…。撮像素子面までの距離的には、大丈夫ようでしたが、その手前にシャッター幕があり、それと干渉することが心配でしたが、やってみると大丈夫でした…。
    画像も記事中に書かれておられるように魅力的なものでした…。
    アドバイスありがとうございました…。


 

 

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