2017 / 04 / 05

Digital Camera

Biotar 58mmシルバー鏡筒のぐるぐるボケとキレのあるピント面。Heliosの親玉を検証

Carl zeiss jena Biotar 58mmはどのくらいHeliosの親玉なのか?銀鏡筒およそ1957年製

とても有名な単焦点ロシアンオールドレンズHeliosのコピーもととされるツァイスのビオター58mm。正確にはビオターの先祖モデルがHeliosの元で、今回のビオターは本家の子孫のようですが、何はともあれレンズ沼の住人としては体感しない訳にはいきません。

レンズとメーカー紹介

Carl Zeiss Jena BIOTAR 58mm F2.0

溢れんばかりに市場に出回るHeliosのサブタイトルによく見かけるBiotarの文字。
オールドレンズに詳しくなるにつれ、いつかはと思いつつもHeliosと似た写りよりも別のレンズが欲しい、、、Heliosほど安くないし、、、が!ついに手を出しました!

今回もCanon 5D markⅢで撮ってます。

本日のアジェンダ

・Heliosと違いはどんな感じ?
・このレンズBiotar 58mmにあった撮り方を考察する

ボケ味、フレーム周辺の描写

何を先につけても試さないといけないのはボケでしょう。
しかもグルグルぼけを見ないことには始まりません。このレンズは。


回ってます!


豪快に!


花は回しやすいー!


と騒ぎながらも、実はピント面のキレのほうに目がいきました。
シャープと言うより、ピリッとキレがあるイメージで、F2.0の開放でこんなにシュッとした感じは久々な気もします。


一瞬現代レンズみたいと思いましたが、光が入ってくるとハイライトの飽和感と暗部にハレーション気味に入ってくる白っぽさに、やはりオールドレンズの味を感じます。

おや?

おや?おや?

なんか遠くがノスタルジック。


って、違うー!
これは無限遠が合ってないんだー!!!

あー!返品とか面倒くさい。
調べると「Returns:14 days, buyer pays return shipping。14日間返品。送料は買った人持ちで」とのこと。
この記事を書いている日で、なんとちょうど14日目。到着日を入れて14日だけど不在でその三日前に一度来てるのは入るんでしょうか?


うむ〜
風景を撮らなきゃ問題ないかな、、、むしろ、ピントが手前で、撮影の視点は奥でちょっと面白いかも。

現実逃避、、、

後で確認すればいいかでそのままにしてました。
街歩きしてる時なら全然間に合ったん。。。

追記:170718
コメントで教えていただきました、5DmarkⅢだと確かにレンズがきちんとはまっておらず、その分が無限遠に届いていない感じです。α7だと何の問題もなく無限遠出ました。

 

気をとりなおしてボケの考察です。


前ボケと、後ボケ、うまく入ったかと。
後ボケの電柱の「文」や赤いコーン等ブレたような二線ボケでしょうか、開放2.0で画像の一番周辺の隅ですしこんなもんかな?


あまり奥が遠くない距離感でボケが入るとフワッと浮き上がった感じが顕著でおもしろいですね。
Biotarに限った話ではないですが、ヘリオスに比べ少しぎゅっと締まったボケなんでしょうか。とは言え硬いボケとは言えない気がします。


こちら花の中心部の黄色は飽和しやすいのか、ピン合わせが掴みづらく大変でした。


こういうのはヘリオスでもいけそうな気がします。
暗部の表現は同じような気が。

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線の描写、色味

開放とF8.0ぐらいを撮り比べながら歩いているので、上記ボケの項と同じようなショットが並びます。


ヘリオスに比べ、色のりが自然でしょうか。


ヘリオスが悪いというわけではなく、ビオターのほうが撮影時のイメージを「少しソフトに」と言ったとすると、ヘリオスは「結構淡く」と言った感じでは。


こう言った感じは、白味がかりもヘリオスと似てるでしょうか。
コーンは割とシャープに出ているような。


コンクリや鉄格子の硬くも細い芯のような味いいですね。


なんかIndustar 50っぽくも思えて来ました。価格差はだいぶあって同じだと悲しいですが。キレとハイライトの飽和感があるパンケーキIndustar 50。
たぶん売れないキャッチコピーですね。


ヘリオスと比較ばかりしてしまいましたが、単体で見るとキレがある描写ながら、画像周辺とハイライトの部分から優しく包んでくれるいいレンズかと思います。


ピント面はどの状況でも割とシャープかと。

購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考

Carl Zeiss Jena BIOTAR 58mm F2.0

最短撮影距離で60cm、M42マウントで比較的数は出回っているでしょうか。
1957年ぐらいの製造で、「T」マークなしなので、後期のBiotarと思われます。

eBayのgerman_photoという150件ほどの取引履歴ですが、100% Positive feedbackの業者から送料、為替手数料含んでトータル15,767円で購入。
本文中で触れたように無限遠が合わないです。感覚ですが5mぐらいまでしかピントが合わないです。

レンズ状態はざっくり訳すと、
このレンズはexcellentな状態。鏡筒と見た目はエクセレントで使用感のある傷はあります(写真参照)。 ガラス面はvery goodで、きれいで、傷、埃、曇り、カビ、バルサム切れ等なくクリア。 光学部品には軽いクリーニングマークが付いています(斜めの明るい光でしか見えません)。それらは非常に小さく、写真には影響しません。レンズには生産時の気泡がいくつかありますが、これらも写真に悪影響を与えません。絞りとヘリコイドはスムーズです。レンズはコーティングされていますのでご注意ください。オリジナルのフロントとリアのキャップ、オリジナルのレンズケース、ミランダスカイライトの保護フィルターが写真のようについています。希少で、簡単にNEXなどのカメラに適応します。他のレンズと比較して非常に低コストで優れたレンズです。この完璧な状態で見つけるのは難しいです。

長めの説明ですが、無限遠については触れてなかったよう。
て、ほとんどの業者infinityと書いたあるのは見かけない気がします。この説明なら14日の返品期日内なら返品はできたかなと。

レンズ写真は10枚と多めで、中山が重視する絞った羽の状態の見やすい写真もありました。あと、このレンズで撮った花の写真も。
以前は撮影サンプルはそんなに重要視していなかったんです、多少目が肥えたのか、作例でレンズ状態が見えるようになって来た気がするので、最近、撮影サンプルはないよりあったほうがいいです。

その他の状態については大体説明通りかと。
とはいえ日本人が感じるexcellentの言葉のイメージではないです。普通の中古品が来た感じです。
なのでB級品的な説明のものはeBayでは危険だと思います。少なくともオーバーホールをするつもりでないと使用が難しいものが来る可能性大です。

eBayの価格帯は、だいたい15,000円〜30,000円ぐらいでしょうか。
羽の数が多いものほど古いようで比例して高くなっているようです。

リペア出したら10,000円ぐらいかな、ケチらないでもう少し高いものにすればよかったか、、、
まぁとりあえず写るのでしばらく放置かな。。。

色味、フレア、ゴースト


こういうフレームだと、ヘリオスではもっとハレーションかかって白が回るのでは。
軽めにハレ気味。線は、おしとやかながらもきちんと残る撮りやすいハレーションかもしれません。

ぐわーっとフィルター加工みたいなものを望むならヘリオスかもしれないですが、軽めにフィルム写真的な味わいならビオターかもしれません。

上手く撮れたと思う写真の振り返り、分析


こういうの撮れたことがなかった気がして、うまく撮れた写真として掲載してみました。

もう少し絞ってもいいかなと思いますが、構図としてこういう感じに切りとれたのは初めてな感じでちょっと嬉しいです。

絞りとシャッター速度の比較

絞りF2.0、シャッター速度1/1000、ISO500

かなりはっきりと描写の違いが出ました。
開放のほうがとっつきやすい感じですが、ビオターの絞った線のシャープの味もいい感じでてるのではと。

絞りF8.0、シャッター速度1/100、ISO1250

向いている撮影の方向性、ポートレートレンズとして

ポートレートに良さそうですね、凛とした品のある感じに仕上がりそうです。
それ以外は、、、無限遠を直さないと持ち歩きづらいかもです。。。

歩いた辺り


晴れた日の代々木上原付近と、


後日、パラパラと小雨がちらつく下北沢をフラフラしました。


新しく変わりつつある下北沢ですが、写真を撮るのにはまだまだ十分楽しい味がありますね。


まだ歩き足りないです。

撮影カメラ情報

Canon 5D markⅢ

BL6A1471
カメラは5DmarkⅢ、画質はraw非圧縮撮影、撮影時のピクチャースタイルはスタンダードで5Dのモニター確認用としてのみの使用です。
PCに取り込んだ時にjpgは捨ててしまいます。

現像は現在PhotoshopCC2017で、レンズの特性を写真に残したいので、露光量で明るさを揃える程度の調整のみに留めています。

マウント

レンズがM42マウントなので、M42 → Canon EFのこう言った薄いやつです。

 


自分の買ったマウントはもう入荷しないようです。1,000円ぐらいでした。

絞り

最近は、気になったシーンを開放F2.0付近とF8.0あたりで比べながら撮ってます。なので一箇所づつ立ち止まる感じではあります。ながら撮りみたいなことは最近しなくなりました。

シャッター速度

晴れた代々木上原の日は、1/1000以上も結構あったかと。
小雨の下北沢は1/100〜1/1000ぐらいだったでしょうか。

ISO

相変わらずオールドレンズでは、カメラの露出測定はレンズや絞りに応じてかなりブレがあってざっくりとしか合わないので、撮りながら合わせる感じです。
開放だとカメラの露出測定よりかなり高めに、絞るとカメラの露出測定通りで合うことも多いですが、ファインダーが少し暗くなってちょっと見辛くなります。

ホワイトバランス

ずっとオートでした。
比較写真でもホワイトバランスより、露出をかなり気にする必要があるからでもあります。

補足

比較対象にしていたHeliosのまとまった記事はこちらです。
安定のヘリオスのトロけるボケと柔らかな描写健在のシルバー鏡胴
どうぞぜひ。

Digital Camera

 

“Biotar 58mmシルバー鏡筒のぐるぐるボケとキレのあるピント面。Heliosの親玉を検証” のコメント

  1. エンドー より:

    ついでに私の好きなレンズですのでこちらにも。。

    このレンズの無限大について一言。
    どのようなアダプタをお使いかわかりませんが、M42のアダプターには絞りピンを押し込む出っ張りがありますね。
    このビオターはマウント部分がかなり出ているのでその出っ張りと干渉してしまい最後まで装着できません。
    出っ張りのないアダプターを使うとちゃんと無限大が出ます。ただしCANONのフルサイズではミラー干渉してしまいますが。
    CANONで使うのでしたら半自動絞りのビオターですと干渉はありません。

    もし違いましたら失礼しました。

    75mmにも挑戦してみてください。きっと貴方でしたらもっと面白い写真を撮ってくださるとおもいます。

    • Hidekatsu より:

      Biotarについてのお話もありがとうございます。
      確かにおっしゃる通りで、5Dだと最後まではまっていない感じでした。
      SONYのα7で試したら何の問題もなく無限遠が出ました。
      ちょうどこのBiotarを試した頃は5Dしかなく、それっきりになっていたものでまた活用できるとはうれしい限りです。
      ありがとうございます。

      75mm挑戦してみたいですが、ちょっと高価なようですね。
      オールドZeissの中望遠はどれも高くてなかなか手が出ないところではありますが、いつか是非試してみたいと思います。

      写真についてのご評価大変ありがとうございます。励みになります。
      最近は、手頃なミラーレス一眼が若い人に受け入れられ始めていることや、SNSなどの影響で写真の立ち位置が変わって来ている時代に、身近な写真の楽しみ方を見せていけないものかと書いているようなところもあります。
      目の肥えている方に評価をいただけたのはうれしい限りです。

      まだまだ色々なレンズを試していきたいと考えていますので、またお時間ございましたらお立ち寄りください。
      この度は色々ありがとうございました。


 

 

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