May

2017

13

単焦点オールドレンズでポートレートをパート3! Sonnar 135、Biotar 58、Orestor 100、そして予想外に良く写ったTrioplan 50

ポートレート撮影での記事を2回に分けました。前回は現代レンズの中望遠Samyang85mm。今回は4本のオールドレンズで構成しています。

単焦点オールドレンズを使ってポートレートの表現に挑戦!

シリーズ企画にしたいほど人物を撮ってみたいレンズが貯まってきました。
少しずつでも機会を設けて行こうと考えています。

今回は室内で照明を使っていますので、オールドレンズだとどうしてもハレーション気味になりますので、raw現像時にシャドウと黒レベルを下げて暗部を締めています。
Adobe bridgeでの補正値も記載しました。

レンズ紹介

Carl Zeiss Jena Sonnar 135mm F3.5

扉の写真にもある素晴らしい人物描写力を見せてくれたのは、Zeissのいくつかの名玉に入ると思われるSonnar 135mm。

中望遠の135mmの画角だと、主に全身を遠くから奥行きのある場所で撮るような、カタログや雑誌のファッション的な撮り方が多いと思いますが、敢えて寄りで使ってみたところ、肌の質感に素晴らしい表現を見せてくれました。

↓ Sonnar135mmの写真へ

 

Meyer-Optik Görlitz Orestor 100mm F2.8

同じ名前の135mmがボケモンスターとして有名なOrestor。
今回の100mmは名前こそ一緒ですが、ボケは正反対な硬めで、その味をポートレートの描写に生かせるか試しました。

↓ Orestor100mmの写真へ

 

Meyer-Optik Görlitz Trioplan 50mm F2.9

こちらも別の画角の100mmがバブルボケの出やすいレンズとして希少価値が付くほど超有名なレンズですが、50mmは比較的安定したトリプレットレンズ構成の写りをします。

バブルボケも条件によっては出ますが、余りポートレート向きではないかなと、持って行ったはいいけど今回は見送ろうかなと思っていましたが、終了間際の五分程で念のため試しに撮らせてもらったところ、驚くような描写を見せてくれました。

↓ Trioplan50mmの写真へ

 

Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2.0

そしてもう一本、普遍的な人気の名玉ZeissのBiotar 58m。

Biotarの先祖が有名のロシアンレンズHeliosのコピー元と言われるだけあって、柔らかい描写を期待したのですが、シルバー鏡筒とあってかハレーションの影響が強く、ちょっと角度が変わるだけでもハレーション具合が違い、なかなかいいポイントを定められなかった感じです。

↓ biotar58mmの写真へ

 

ドイツレンズ Sonnar 135mm


オールドZeissの話題によく上がってくるレンズ名のひとつSonnar。
流石に実力を兼ね備えたレンズでポートレートに抜群の相性です。


優しい肌の描写ながらも肌の本来の質感も感じられ、目や髪の出て欲しいとことはちゃんと表現されて、素晴らしくポートレート向きのレンズと呼べるかと。


ピント面はスッと優しいキレがあり、結構寄ったフレームで目にこれだけピントが来れば、全く問題なく業務レベルいけます。


絞りは大体F5.6あたりだったかと。
135mmの中望遠らしく、かなりボケは出やすいですので、それなりに絞っても扱いやすいかと思います。


このSonnar 135mmと、今回は使用しませんでしたがJupiter-9 85mmは単焦点オールドレンズのポートレート用では一押しではないでしょうか。街撮りでも力を発揮しそうな気がします。


価格帯も、135mmの画角はそれほど人気がないようで、レンズの実力に比べて手頃だと思いますので、一本持っていると急な人物撮影などに重宝するのでは。

Raw現像

Adobe BridgeでのRaw現像時に、シャドウ-20と黒レベル-35をかけています。

ドイツレンズ Orestor 100mm

100mmというポートレートに適した画角ですが、もともとボケが硬い印象があり持ち出しづらいところもありました。
とはいえ撮ってみなければ始まらないですので、所有の手薄な中望遠の幅をつけるためにも今回少し挑戦してみました。


ボケだけでなく全体的に硬く写る印象ですが、奥の扉も手前の机も硬いボケな感じです。
決してボケていないわけではなく、ものすごく形状がしっかりの残る感じで、少し不思議な余り見かけない描写かと。
左のドアは、普通に壁についているドアなんですが、まるで初心者の画像合成のようです。


リアルで写実的な絵のようにも見える描写です。
シャープというほどキリッと写っている訳でもなく、でも間違いなく実際の目で見るのと雰囲気が違います。


首から下のボケが入ると多少写真ぽい雰囲気が出てきましたが、やはり写実的な絵のように見えませんでしょうか。


実は、この少し前に仕事で人物の指だけ撮る機会があったんですが、それがもの凄くいい感じが出たので、今回ポートレートにも試してみています。
決して悪いとはいえない描写だと思いますが、現代的な描写ではないですし、もうひとつ被写体に迫る感じがないような気が。


でもこの不思議な距離感は間違いなくこのレンズの味ですし、いつかもっとピタッとはまる機会があるような気がします。


それから備考として一点、
今回試した4本のオールドレンズの中で、このOrestor100mmが一番シャドウ部分の補正がかかっていません。
Adobe BridgeでのRaw現像時に、シャドウ-10と黒レベル-10ですので軽めと言ってもいいと思います。

このレンズは外観のゼブラ柄が示すように、1968年製と結構古いのですが、所有の他のレンズと比べても暗部の強さが突出しています。たぶんまだレンズコーティング技術が高くない時代です。
ちょっと不思議なレンズです。

Raw現像

Adobe BridgeでのRaw現像時に、シャドウ-10と黒レベルを-10をかけています。

ドイツレンズ Trioplan 50mm


念のため試しに最後の5分ぐらいでがぁーっと撮ったんですが、小さなレンズのTrioplan 50mm、思わねパワーを見せてくれました。


なんというか、兎に角とてもちょうどいい。
肌の柔らかな質感、ピント面の強すぎず弱すぎずの表現、さらに多分少し歪曲して可愛らしさを増幅しているのではと。


3枚レンズのトリプレットは、ポートレートのこの距離感に合うのでしょうか。
現代レンズでも同じような撮り方はできると思いますが、そつがなくピント面がパキッと出てしまうと思うので、このTrioplanの描写はオールドレンズの良さが際立つ部分ではと。


うーん、なによりTriplan 100mmが欲しくなりました。


このレンズは50mmですが、Trioplanの端くれなので、近距離にピント面を持って来れば奥にバブルボケが出すことが出来ます。
被写体にここまで寄れるなら、そのバブルボケも結構容易に使えるやもしれません。


それほど際立った印象のなかったレンズですが、近距離ポートレートに力を発揮することがよくわかりました。
ラスト5分でも試してみてよかったです。

Raw現像

Adobe BridgeでのRaw現像時に、シャドウ-20と黒レベル-20をかけています。

ドイツレンズ Biotar 58mm シルバー鏡筒

Biotarの人物描写には期待をしたのですが、なかなか思うようにいかず、自然光だったらもう少し馴染んだのかもしれませんが、1957製のシルバー鏡筒では照明の光は酷だったのかもしれません。


今思うとTrioplanのように寄ってみればよかったのかと思いますが、少し引き目で体を入れるように撮った写真ばかりでした。


どうにも収まりが悪く、そのままだと参考にしづらいのでBiotarの掲載写真はトリミングをしています。また、暗部の調整も一枚ずつ綿密に行い、顔のあたりはレフ板をあてたような明るさ調整をしています。


Biotarといえば先祖がロシアンレンズHeliosのコピー元として有名な系統ですので、柔らかいボケと淡い色味で優しい描写が特徴ですが、特に大事なボケがもう一つです。

というのも、ボカそうと絞りを開くとハレーションでどうしようもなくなる感じで、フードは嫌いなほうなのですが、流石に今回ばかりは購入を決断しました。

また、ブログ用に縮小した写真だとちょっとわかりづらいですが、ピント面が甘くなっており少し画像が足りない感じです。完全にレンズの解像度の問題かと思います。

甘く出るのがオールドレンズの良さでもあるかと思いますが、どうせなら上記Trioplan 50mmのように強烈に味が出てくれると使いやすのですが、このBiotarは少し半端な立ち位置に感じます。


こちらのみトリミングをしていない寄りの写真で、ボケとのバランスがちょうどよく素直な写りをしているかとも。
とはいえピント面は拡大するとやはりもうひと押しで、ポートレートとして考えるとこのレンズでは限界を感じるところです。

Raw現像

Adobe BridgeでのRaw現像時に、シャドウ-25前後、黒レベル-45前後でかけています。
このBiotarだけ数値が「〜前後」となっているのは、写真ごとに暗部のハレーションのばらつきがあり、それぞれに細かく調整が必要だったため大体の数値を記載しました。

購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考

Carl Zeiss Jena Sonnar 135mm F3.5


最短撮影距離 100cm、およそ1968年製、6枚羽、3群4枚レンズ構成
eBayでの価格帯:¥10,000〜¥20,000ぐらい

価格と性能が比較的比例して安定しているレンズのように思います。
外観に拘らなければ10,000円も切るものもたまに見かけますが、重さが430gと少しあるため送料は気をつけたいところです。

実はこのSonnar 135mm、ちょっと街撮りでは使いづらい画角なのもあって、まだ外では試していないのです。
撮るフレームが50mmなどに比べて限られるかと思い、ひと記事に写真が足らなかったらやだなと。。

Meyer-Optik Görlitz Orestor 100mm F2.8


最短撮影距離 110cm、およそ1968年製、6枚羽、4群5枚レンズ構成
eBayでの価格帯:¥10,000〜¥25,000ぐらい。

ボケモンスターの異名がある135mmのほうが手頃に買えるような気もしますし、ポートレートには向いているかとも思います。
中山も135mmを購入して、一つ上の記事のSonnar135mmと比べてみたいと思ってます。

Orestor100mmの街撮り記事もこちらにあります。
クセのない中望遠 名門Meyer-Optik Orestor 100mm F2.8 M42

Meyer-Optik Görlitz Trioplan 50mm F2.9


最短撮影距離 60cm、およそ1950年製、12枚羽、3群3枚レンズ構成
eBayでの価格帯:¥15,000〜¥30,000ぐらい

50mmのTrioplanはEXAKTAマウントかALTIXマウントがほとんどのようで、中山が買った筐体もALTIXを改造してM42にしてあるものでした。
そんな理由があり、実は撮影中にマウント部のリングの接着がとれて、永遠にレンズくるくる回る状態で撮っていました。ピントを動かすのも大変でした笑。
あとで瞬間接着剤でつけ直したら付ける位置を間違えたようで、現在レンズをカメラにつけると、絞りの目盛りがレンズの下になる状態です笑。
この辺りのことが笑って対応できそうにない場合はEXAKTAマウントが無難かもしれません。

そのEXAKTAのTrioplan 50mmを以前持っていた時の街撮り記事があります。
バブルボケを標準画角で手軽に楽しむ!光の違いをワガママに表現するMeyer-Optik Trioplan 50mm F2.9

Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2.0


最短撮影距離 60cm、およそ1957年製、10枚羽、4群6枚レンズ構成
eBayでの価格帯:¥15,000〜¥30,000ぐらい

Biotar58mmの先祖が、有名なロシアンレンズHeliosのコピーもととして有名で、やはり描写は似ています。
若干Biotarのほうが解像度が高く鮮明に写る印象ですが、他のレンズとの違いで言うとBiotarもHeliosもそんなには変わらないかなと。

また中山の買ったBiotarは無限遠が合っておらず、現在のところ遠景は撮れません。
追記:170730 5Dに合わないだけでした、α7なら問題なく無限遠出ました。

Zeissの銘玉の名声のせいか使う人が多かったのか、市場の筐体も程度がいいものを手に入れようとすると高くなってしまうので、Heliosの¥10,000円ぐらいの程度のいい筐体のほうが無難ではないかとも思います。

Biotarの街撮り記事。
Biotar 58mm銀鏡筒の優しい描写とキレのあるピント面。Heliosの親玉を検証

Heliosの街撮り記事。Helios 44 58mm 安定のヘリオスのトロけるボケと柔らかな描写健在のシルバー鏡胴1950年製」

マウント

今回使ったCanon 5DなどだとCanon EFマウントと呼ばれますので、M42マウントを変換となると、M42 → Canon EFのこう言った薄いやつです。SONY α7だとM42 → NEX(SONY Eマウント)です。


マウントはカメラによって干渉等でうまく使えないこともありますので、使用の保証はできませんのでご留意ください。

撮影情報

照明関連

自然光で撮りたかったのですがあいにくの雨でしたので、照明をLED照明3灯と小型ストロボをいくつか焚いています。

このタイプを3つ使って、正面二つ、頭の上から髪をひとつで照らしてます。
動画にも使えて光が柔らかいLEDの定常光は使い勝手がよく、目視で光のあたり具合がわかるのは何よりやりやすいです。

 


また、小さいストロボを無線で4つ使って、壁の影を消したり被写体の後ろに置いて逆光っぽくアクセントを入れたりしています。

以前は、パラソルの大きなストロボや、Canon純正の小型ストロボを使っていましたが、去年、備品整理をした際に売却して手頃な中国製に変えました。なんの問題もないです。
パラソルの大きなストロボが必要な場所は、大概そこのスタジオに置いてあることも多く、レンタルできるのでそのほうがコスパがいいと思ってます。保管も場所をとりますし。

カメラ

BL6A1471
カメラは5DmarkⅢ、画質はraw非圧縮撮影のみで、jpgを残すのをやめました。というよりjpgつけないとカメラでの撮影確認できないと思ってました。
照明の調整の間は、CanonのPCアプリを使って、撮った写真をすぐPCで確認しながら照明を作っています。
あらかた照明が固まったらPCから外します。撮り始まると邪魔ですので。

現像・調整

現像はAdobe BridgeCC2017で、レンズの特性を写真に残したいので、調整は露光量で明るさを揃える程度に留めています。
今回は、レフ板のようなイメージで顔をピンポイントで明るくしたり、ゴミ取りなども行なっていますが、色味調整やフィルターなどは一切かけていません。

絞り

それぞれのレンズの解放絞りから一段上〜F8.0ぐらいで、ほぼ顔のみのフレームなどはF8.0ぐらいで上げ目にします。

シャッター速度

ストロボとの同期もあるので1/100で撮ってます。

ISO

ISOは照明の強さや距離にもよりますが概ねISO1000ぐらいでした。

ホワイトバランス

照明撮影の場合はマニュアルでK(ケルビン)を合わせています。
今回は4700K〜5000Kくらいで撮って、raw現像時に微調節しています。

補足

今回、レンズの解像度が初めて気になったんですが、特にポートレートの場合、目の描写がどの距離まで解像度が保てるかは気にしないといけないのかもしれません。
肌の質感やボケの表現との兼ね合いも大事かと思いますが、やはりポートレート写真は基本、最初に目を見ると思うので解像度からくる目の描写は気にしたいところかと思います。

ちなみに現代レンズでは、オールドレンズと比べたらぜんぜん解像度は高くてキチッと写るのですが、肌や線の柔らかさの表現が難しい気がします。

同じ機会に現代レンズSamyang85mmで撮った記事もあります。
素晴らしいコスパと噂のポートレートレンズSamyang 85mm F1.4

その他オールドレンズでのポートレートのシリーズはもう2記事あります。
Jupiter-9 85mmのポートレート 扱いやすいボケと自然なハレーションが作るフィルム感
両方ともJupiter-9が撮影の中心になっています。
単焦点オールドレンズの良さをポートレートでJupiter-9、Xenon、Pentacon Electric


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