2016 / 04 / 23
ロシアンホワイトの準広角 Mir-1 37mm F2.8 はFlektogonのコピーレンズでも使い勝手は別物かと
同じロシアンレンズで有名なHeliosほどではないですが、ロシアンレンズの話の中で時々出てくるMir-1。やはりZeissのレンズをコピーされたモデルで準広角の37mm。近距離撮影はできませんが、街撮りに面白いレンズではと思います。
レンズとメーカー紹介
第二次世界大戦の影響の話によく出てくるロシアによるZeissのコピーレンズ。
歴史的背景はなかなか難しい話のようですが、どれも個性があり面白みのあるレンズで、安価に試せる現代では別の価値も生み出しているのではと。
Mir-1 ZOMZ 37mm/F2.8 70cm M42 1968年
今回のレンズ「Mir-1」は「Carl Zeiss Jena / Flektogon 35mm」のコピーレンズで、確かにレンズの構成枚数や形などの光学系は前述のFlektogonと似ていますが、使い勝手が別で、結果的に違う描写になるレンズなのでは思いました。
(Flektogonは前回レビューを書いています)
色味、ハレーション
確かに一部、条件が合う場合はFlektogonに近い描写になる気もするんですが、何よりMir-1のほうはぜんぜん近撮影ができないので実質同じ撮り方はあまりしないことになって、当然写る絵も変わるのではないかと。
順当にいくと、こんな感じにメインになるものはそれほど大きくとらず、他の要素をいくつか並べる構図になっていくのではと思います。
また色の表現も白っぽくホワッとなるロシアンレンズっぽい味で、コピー元のFlektogonのコントラスが強めな感じとは違うかと。
ちなみに、この白っぽくホワッとなるロシアレンズの味を、個人的に「ロシアンホワイト」と呼んでいるのですが、同じロシアのコピーレンズHelilos 44-2、Jupiter-9あたりでも見られます。
Helios44-2
Jupiter-9
線の太さ、シャープ
とはいえ、似ている部分も確かに感じます。
ピント面の線のシャープな感じはFlektogonに似ている気もします。
構図に左右されますが、線が細かくFlektogonよりさらに繊細、悪く言えば弱々しい気もしますが、柔らかく写る感じもあって露出を上げ目で撮ると淡い雰囲気などは出しやすく思えます。
ボケ味
最短撮影距離が短いのでボケを狙うのはなかなか難しいのですが、今の世の中便利なものがあって「ヘリコイド付きマウントアダプタ」なるものがあります。
それもかなり寄れるようになるありがたいツールです。
今回のM42マウントをSONY a7に使うとこの辺です。
これがあればこのぐらいガッチリ寄れます。
冒頭の写真もこのマクロマウントを使っています。
近距離、画角広めで白っぽくフワッとなる余りない感じでは。
距離感によっては若干ボケが荒くなる気もしますが、まあそれもレンズの味と考えてもいいんじゃないかと思います。
購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考
購入はebayでussr_lens2015という100% Positive feedbackの業者から購入。
状態は「前面のレンズはかなりいい。バックのレンズは少し消耗の箇所がある。絞りはドライでよく動く。フォーカスもスムーズ。」で表記通りかと思います。ロシア系のレンズはピントを動かすヘリコイドが硬くなっていたりの問題が多いみたいですが、本品は問題ないです。
また今回のMir-1 シルバー筐体のマウントは少しややこしくM39のスクリュータイプです。
なので一般的なM42マウントで使うために「M39 → M42ステップアップリング」と言うものをつける必要があります。
この辺です。
それでも一般的なマウントだと無限遠までピントが届かないので、無難にいくなら黒い筐体のバージョンを購入した方がいいです。
今回のシルバー筐体の後のバージョンからは色が黒くなっていますので比較的わかりやすいかと。
歩いたあたり
今回は歩き慣れた代々木公園の西口付近、富ヶ谷の交差点から井の頭通りを表参道に抜けるあたりをぶらぶらと歩いてみました。
さらにもう少し天気のいい日の写真も撮りたかったので、別日に初台に出来たオシャレスタバに行きながらも撮ってみました。
Inspired by STARBUCKS 初台
上手く撮れた写真の振り返り、分析
露出過多で花がよく見えませんが、これはこれでいいんじゃないかと。
いい意味できちんと写りすぎない感じが好きです。
こちらも今時のレンズならもっときちんと写りますが、きちんと写ることが全てではなく、その時感じた雰囲気のようなものを撮るのも写真の面白みと思いますので、オールドレンズはそういった表現手段の一つとして面白いのではと思います。
撮影情報
カメラはSONY α7R、画質はraw非圧縮、現像ソフトはPhotoshopCS6で写真によっては多少「露光量」「白レベル」を調整してますが、そのままの撮って出しも多いです。
絞りは開放から2、3段上のF2.0〜F6、シャッター速度は手ぶれを考慮して1/100を軸に、明るすぎる時は1/400ぐらい、風に揺れる花など動きの速いものは1/800ぐらいで明るさはISOで補充、ISOは基本50にしておき適宜シャッター速度と絞りで明るさ調整してます。
ホワイトバランスは外の場合大体オートです。特に雲がまばらで日が出たり入ったりの時は撮るたびに調整してると大変な手間なのでオートで標準です。また仕事等で室内スタジオの時は、きっちり数値で合わせます。
補足
Mir-1の最終バージョンMir-1B黒鏡筒1992年製の記事を書きました。
「40年近く変わらなかった光学設計はどんな写り?Mir-1B 37mm F2.8 黒鏡筒 in 浜田山」
合わせてどうぞ。
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