2019 / 01 / 20

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お勧めのオールドレンズ中級編7本!使い勝手、コスパ、描写特性から考える選び方!

なんとか7本に絞りました。メイヤーやシュナイダーのレンズも入れ込めていいバランスに出来たのではと。

前回の初心者・万人にオススメレンズ4本と合わせて参考にしてもらえたらと思います。

本日のアジェンダ

『東京ぶら街写真。』が勧める中級編オールドレンズ達!
↓ M42マウント編5本
↓ L39マウント編2本

今回はM42マウントの他に、1960年代ぐらいまで支流だったL39マウントのレンズも少し紹介しています。
L39マウントのレンズは、M42マウントのレンズに比べ使い勝手こそ少し落ちるものの、ビンテージらしい写りや味わい深い外観なども面白みがあり、オールドレンズに慣れてきたら是非試していただきたい領域と思います。

オススメのM42マウント_中級編

レンズ名 画角 絞り 一言特徴 最短
撮影距離
製造もと

↓ Pancolar
50cm F1.8 トロけるボケ・
安定した写り
35cm Carl zeiss jena

↓ Biotar
58mm F2.0 キレのある
ビンテージ感
60cm Carl zeiss jena

↓ Xenon
50mm F1.9 優しさと
厚みのある描写
50cm Schneider
Kreuznach

↓ Primagon
35mm F4.5 Meyer
黄金期の実力
40cm Meyer-Optik
Görlitz

↓ Sonnar
135mm F3.5 望遠の
スタンダード
100cm Carl zeiss jena

トロけるボケ・安定した写りのPancolar 50mm



F1.8まで使える絞りはオールドレンズとしては余裕のあるほうで、さらに撮影最短距離35cmもけっこう寄れるほうと思いますので、比較的ボケを演出しやすいレンズと思います。


ヘリオスなどに比べて画像周辺のボケに安定性がありますので、豪快というよりトロけるボケと言った表現が合うように思います。


パンカラーはバージョンが多く一括りにはしづらいですが、程よい色のり、穏やかでスッキリしたピント面、割と安定した周辺描写等、優等生的なレンズと言えるのではないかと思います。

Pancolarのトリウムレンズについて


バージョンの多いPancolarの中でも一際目を引くのが、トリウムレンズという微量の放射線を帯びているレンズが使われたモデルで、簡単に説明すると、レンズにセピア色のフィルターが最初からかかっているような状態なのです。
詳しくはこちら → 黄変トリウムレンズを街歩きで楽しむ[…]


このトリウムレンズのセピア色は、カメラのホワイトバランス「オート」である程度自動調整が効くものの、壮大に色転びをする事もあるので、自身でホワイトバランスの調整までしたほうが良い結果になりやすいかと。


個人的には、セピア色がのると若干色のりがよくなり日陰でも発色が上がって撮りやすい気がしています。まあ気のせいのレベルかもですが。

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キレのあるビンテージ感 Biotar 58mm



有名なロシアンレンズのヘリオスは、このビオターの先祖をコピー元としているらしく、ぐるぐるボケが出やすい特徴など全体的な写りも似ています。


とはいえこのビオターはオリジナルの直系ということもあってか、コピー元になる魅力をヘリオスより幅広く備えているように思います。


特にシャープなピント面と、飽和しやすいハイライトやボケとの対比は美しく、オールド・ビンテージらしい描写を見せてくれるレンズかと。


それでも日陰でボケを効かせた近撮影気味のショットは比較的ヘリオスに似た雰囲気になりやすいでしょうか。


個人的に好きなのが、開放気味で遠景など平面的に撮った時のフィルムっぽさで、


光の影響や絞りが描写に大きく影響する面白いレンズと思います。

Biotarの記事一覧

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優しさと厚みのある描写 Xenon 50mm


前述のパンカラーと似たスペックですが、こちらはもう少し描写が分厚い印象です。
パンカラーがポスターカラーなら、クセノンは油絵と言った感じかと。


なんと言っても強めの光がレンズに入ってきた時に、グッとしがみつくような濃い味を安定させる描写が油絵っぽいと言えるのではと。


天気のいい日は特に発色がよく、空など色味の強いものを入れ込んだ眺めのいい遠景なども面白いと思います。


心なしか特に赤に反応がいい気が。


最短撮影距離50cmは寄れるとは言い切れませんが、フードなどの近撮影では上記のぐらいまでは近づけます。


また絞りは開放F1.9まで使えるので、それほど寄れないレンズとしても被写体の背後をボカすのは容易と思います。


日陰では比較的柔らかめの描写になる印象で、それほど際立つ特性は感じませんが、パンカラーと同じように描写は安定しており、幅広く対応できるいいレンズと思います。

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Meyer黄金期の実力 Primagon 35mm



残念ながら知名度が低く、過小評価と思うレンズPrimagon 35mm。


今時のレンズと比べると解放F4.5はだいぶ心許なく思えるところはあるかもしれませんが、最短撮影距離40cmありますので寄ったものはほぼ奥がボカせます。


色味や質感は比較的堅めな描写で、乾いたような質感がフィルム的な描写感も見せてくれる面白いレンズかと。


またPrimagonの特徴は、絞り開放時の周辺光量落ちと相性が良く、寄りだけでなく開放で風景を撮るのもオススメです。


さらに個人的に好きなのが豪快なゴーストで、古いレンズらしくコーティングや内部反射の甘さとは思いますが、特殊効果と呼べるぐらい面白い要素です。


と言った感じで楽しみどころの多いレンズと思うんですが、いかがでしょう。

フィルム撮影

Primagonの記事一覧

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望遠のスタンダードSonnar 135mm



一点集中型撮影のレンズとしてJupiter-9についでお勧めが、未だ現代レンズにも名が残るSonnarの135mm。


オールドレンズでは比較的よく見かける135mmの画角のレンズとして、おそらく一番メジャーでバランスが良くお勧めしやすいレンズではないかと思います。


ポートレートや一点に集中する構図の花の撮影など、前回お勧めした85mmのJupiter-9と同じような感覚で使えるレンズかと。


望遠という言葉からだと遠い被写体を撮るイメージがありますが、135mmだと遠いと言うより、被写体を大きくクローズアップしたり、被写体の前後にボケを強めに入れたい場合などにいい画角です。


135mm辺りからのレンズは、手振れやピントずれが少し問題になるので、デジカメのプレビュー画面でリアルタイムにズームしてピントを確認できるデジカメでないとちょっと使用は難しいかもですが、今時のデジカメならそこは問題ないでしょう。


また手ブレの予防にはシャッター速度を上げてその分ISOで明るさを補強する手もありますので、デジカメ時代のオールドレンズとして十分楽しめるのではないかと思います。

Sonnarの記事一覧

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オススメのL39マウント_中級編

レンズ名 画角 絞り 一言特徴 最短
撮影距離
製造もと

↓ Jupiter-8
50mm F2.0 程よいビンテージ描写 100cm ロシア

KMZ

↓ Elmar
90mm F4.0 手の届くLeica 100cm Leica

※L39マウントはLeica Lマウントともいいます。

程よいビンテージ描写 Jupiter-8 50mm


1960年代の少し古めのレンズを探すとL39(Leica L)マウントである事が多いと思います。


比較的手頃なレンズが多いL39マウントのレンズの中でも、まずお薦めしたいのはこのJupiter-8 50mmです。


最短撮影距離が100cmと、あまり寄れないスペックではありますが、ビンテージ感漂う描写が可能な良さと、小さめなレンズであることも手伝って普段撮りに最適なレンズと思います。


絞り開放付近で出るノスタルジーな雰囲気は特にオススメで、きちんと作り込んだ写真ではなくその場所の雰囲気なども捉えやすいのではと思います。


小さいレンズは大きな良さと思えて、思いついた時に撮る、ちょっと気になったら撮るスタンスが自然に出来る大事な要素と思っています。


正に普段撮り、普段の風景に合うスペック、描写のレンズでは。


個人的に気に入っているこの写真は、手前のピント面よりも、奥のぼかした木々のバランスに気を使って撮りました。ビンテージ風味と合わさっていいバランスに撮れたのではと。

Jupiter-8の記事一覧

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手の届くLeicaレンズ Elmar 90mm



Leicaのレンズはどれも高く、なかなか気軽に試してみることは難しいですが、このElmarの長い鏡筒シリーズは比較的手頃に手に入れることが出来ます。


古い作りからくるハレーションはなかなか難しさもあるのですが、それも味の一つと考えることで、丸みのあるLeicaの描写表現を楽しめるのではと思います。


90mmの中望遠なので、前回お勧めしたJupiter-9 85mmや、今回お勧めのSonnar 135mmと同じ撮影イメージでもOKですが、


Elmarは遠景を面で捉えるような撮り方もいい感じに収まることが多いように思います。


全体的に穏やかになるピント面が、広く面でとったピント面に合うのかと。


もちろん中望遠らしい一点集中の構図や、前後のボケを生かした構図も問題なく撮れるので、


ポートレートや 一輪の花など、中望遠レンズらしい撮り方も十分楽しめると思います。

Elmar 90mmの記事一覧

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レンズ選定の補足 ほか

舶来レンズのみ(主にロシアとドイツレンズ)

個人的に舶来のレンズを気に入ってこれまでブログを書いてきたので、筆者の中山が比較的よく知っている舶来レンズのみとしています。

M42マウントかL39(Leica L)マウントで発売があるレンズ

圧倒的汎用性があるM42マウントが最初はオススメですが、1960年代以前に支流だったL39マウントのレンズもいいオールド感を持ったレンズが多いので少し載せています。

高くても4、5万円ぐらいのレンズ

現代レンズの単焦点レンズを買うとすると、4、5万円ぐらい〜(いわゆるエントリーモデルを除いて)と思いますので、オススメのオールドレンズというと、この辺の価格帯までぐらいがいいかなと考えました。

最初にかなり手頃なレンズをオススメしない理由

オールドレンズには3,000円〜5,000円ぐらいのかなり手頃なレンズもたくさんあり、一見すると最初に試すならこういったレンズがいいように思うかもしれませんが、単刀直入に言ってこう言ったレンズは扱いが難しいです。
描写の特徴がわかりづらかったり、使い勝手がよくないものも多いです。また状態が悪い故に安いこともあります。

このブログで具体的にいうとIndustar 50-2 50mmSmena8 T-43あたりです。
ある程度オールドレンズに慣れてくると扱い方もわかってチープな良さも見えてきますが、最初にこの辺を試してしまうとオールドレンズがなんだかわからないままで終わってしまう懸念を持っています。

絞りとボケの関係についての補足

F4.5のPrimagon
Primagon F4.5 35mm
ボケは絞りの値とイコールに思われがちなところがあって、古いレンズによくある絞り値F3.5やF4などのレンズは、ボカしたい場合は敬遠されがちと思いますが、実際ボケは「最短撮影距離=どこまで寄れるか」も重要なので絞りの値だけで考えるとちょっと違うかと思います。

 


その「最短撮影距離=どこまで寄れるか」も、主にM42マウントは上記のようなマクロマウント等、最短撮影距離を縮めるツールが存在するので調整が可能だったりします。

マクロマウントで寄った分後ろをボカせます
Primagon F4.5 35mm

さらに補足で「F値が不十分で明るさが足りない」というのはフィルムカメラでの話で、デジタルカメラではISOで明るさを調整できるので直接関係ない話です。

初級者編もあります


オールドレンズのスタンダードの初心者・万人にオススメレンズ4本の記事もあります!

あとがき

中級編やっと書き上がりました。
普段のレビュー記事のように思うがまま書くのとは違って簡潔にまとめるのがかなり大変で、かなり時間を使ってしまいました。

と言うわけでかなり遅くなってしまいましたが、
本年もどうぞよろしくお願い致します。

本記事レンズのヤフオクでのリペア販売について

Pancolar、Biotar、Primagon、Jupiter-8はたまに並べています。
Sonnar、Xenonは稀に出品することがあるやも。
Elmarは今のところ出品する予定はないです。

自身でリペアしたレンズをヤフオク!に出品しています


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リペア・調整したレンズのみ販売しております。購入をお考えの方いらっしゃいましたら、ぜひよろしくお願い致します。


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