2017 / 11 / 18
【ぐるぐるボケ出し方講座 】オールドレンズ ヘリオスのぐるぐるボケの出し方の解説。Helios 44-2、Helios 44Mなど 58mmシリーズ

主にロシアンオールドレンズのHeliosで見られるボケが渦巻き状に歪曲する「ぐるぐるボケ」。マニュアル単焦点レンズに慣れていないと最初は手こずるかもしれませんが、コツが分かればそれほど難しくないと思います。
レンズとメーカー紹介
Helios 44-2 F2.0 58mm

オールドレンズで一番有名であろうロシアンレンズのヘリオス。
44-2や44Mを筆頭に、44、44M-○などバージョンや工場ごとなどに複数あり少しややこしい部分がありますが、基本的にはどれもレンズ構成が一緒で写りはほぼ一緒ですので、今回の記事の本題「ぐるぐるボケ」や豪快なボケを楽しむことができる面白いレンズです。

とはいえ「ぐるぐるボケ」は常に出るわけではなくある程度条件を揃えないと写ってくれません。
特にマニュアルレンズが初めてだったりすると少し戸惑う部分も多いと思います。
その辺りを写真を交えながら解説したいと思います。
本日のアジェンダ
・ぐるぐるボケの撮影手法3つの条件
・「明るい小さな光を沢山」の条件を生かす
・ぐるぐるボケが見られるレンズの紹介
・購入時の参考
ぐるぐるボケの撮影手法3つの条件

ズバリ、
「絞り開放」
「ピント近めで背景をぼかす」
「明るい小さな光を沢山」
が3つの条件です。
とはいえもう少し細かく調整しないとうまくいかないことが多いですので、もう少し細かく記載していきます。
絞り開放
まずは基本となる、絞りの位置です。

いわゆる開放絞り、絞り羽根を開いて光がいっぱい入る状態にします。

開放絞りとはHelios44-2の場合F2.0(HeliosだとF16の位置)付近、少し絞ったとしてもF2.8ぐらいまでかと。
ピント近めで背景をぼかす

ピントは手前のミニかぼちゃです。ヘリオスの最短撮影距離50cmギリギリの近さで撮ってます。
ピントを近くに持って来れば背景はだいたい大なり小なりボケますので、
『 背景をぼかす = ピントを近距離 』
と覚えてひとまず大丈夫です。

ところが背景をぼかすだけではぐるぐるボケにはならず、
『 背景をぼかす ≠ ぐるぐるボケ 』
なところが少し難しいところかと。
明るい小さな光を沢山
一番ポイントで難易度もある条件で、ある程度隙間のある森の木漏れ日が一番わかりやすい条件です。

こんな感じの「細かい木漏れ日」が背景に来る場所です。
背景の木はそれなりに遠い方ほうが出やすいかと。

厳密な木漏れ日でなくても大丈夫で、ある程度生い茂っている上に少し隙間があれば大丈夫です。

ここまで記載した「絞り開放」「ピント近めで背景をぼかす」「明るい小さな光を沢山」の条件がいいとこんな感じに豪快に撮れます。
木陰だと全体が少し暗くなりがちなので、手元だけには日差しが入って来るような場所を見つけられたらベストかと。
後半、少し掴みづらいと思われ応用も利かせやすい「明るい小さな光を沢山」をもう少し掘り下げます。
「明るい小さな光を沢山」の条件を生かす
少し理屈っぽい話ですが、ぐるぐるボケはレンズがきちんと画像の四隅まで表現できない歪みです。歪曲収差とも言うかと。
ぐるぐるボケは歪み

上記写真内のいくつもの玉ボケ(丸い光のボケ)を見てもらうと、写真中央から四隅に向かって、だんだんとナナメに長細くなっていっているのがわかると思います。
単刀直入に言うと手頃なレンズなので、写真中心から端にかけて歪んでいるのです。
この歪みが写真の味付けとして面白く市民権を得て「ぐるぐるボケ」と名前がついたもので、実際に回っているわけではなくそう見えるだけです。
ですので、言い換えるとこの歪みをわかりやすくするのがぐるぐるボケの表現でもあります。
単にボカしただけではダメ

近くのピント面に花、遠くの空をボカした写真ですが、ぜんぜん回っている感じがしません。

回っているような、ハイキーで飛んでしまってよくわからないような感じです。

木漏れ日ではなく地面ですが、回っているように見えます。
と言った上記3枚を踏まえ、
Q. 何が歪みをぐるぐるボケに見せているか?
Q. 玉ボケの条件とはなんなんでしょう?
と考えてみます。
Q. 何が歪みをぐるぐるボケに見せているか?

A.
既に少し話に出ているように玉ボケが歪みをわかりやすくしています。
つまるところ玉ボケが出ていないと歪みを感じづらいとなり、言い換えると、玉ボケが出るフレームで写真を撮ればぐるぐるボケが出るとも言えるのかと。
ですので、絞りを開放気味にして、ピント近めで背景をボカし、木漏れ日などの場所を探して玉ボケを撮るとぐるぐるボケが出やすいといます。
Q. 玉ボケの条件とはなんなんでしょう?

A.
上記写真は花を横から撮っていますので木漏れ日ではありませんが、葉っぱの反射で玉ボケが沢山出て豪快です。

こちらはコンクリートの中の白い石と思われるものが玉ボケになっています。
という事例も踏まえて考えると、玉ボケの条件は『明暗差』です。
極端に言えば黒バックの中の白い点です。
その明暗差が「絞り開放」「ピント近めで背景をぼかす」「明るい小さな光を沢山」にあてはまればぐるぐるボケが出るということになります。

明るい小さな光にある程度適切な大きさと強さが必要ですが、特性さえ掴めれば写真の味付けに利用することができ、上記のような車の反射や、草や葉っぱの反射は玉ボケになりやすく、ぐるぐるボケの材料にできると思います。
ぐるぐるボケが見られるレンズの紹介
多い少ないの違いはあるにせよ、実はヘリオス以外にもぐるぐるボケが出るレンズは多数あります。
むしろオールドレンズは、まだ四隅への歪みが出やすいレンズ構成の宝庫なので、玉ボケが出やすいレンズはどれもぐるぐるボケが出る可能性があるくらいかと。
Biotar 58mm

ヘリオスのコピー元とされる本家のレンズですので写りも似ており、やはりぐるぐるボケもでます。
ヘリオスに比べシャープなキレがある印象でよく写るレンズですが、おそらく各カメラメーカーともミラーレス一眼でないと構造上無限遠がでません(私の5D markⅢはダメでした)
→ Biotar 58mmシルバー鏡筒のぐるぐるボケとキレのあるピント面。Heliosの親玉を検証
Trioplan 50mm

バブルボケで有名な100mmの弟のようなTrioplan 50mm。こちらもヘリオスと似たような条件でぐるぐるボケがでます。
バブルボケと相まるとヘリオスとは違った豪快なボケになり楽しいレンズです。
→ バブルボケを標準画角で手軽に楽しむ!光の違いをワガママに表現するMeyer-Optik Trioplan 50mm F2.9
Telefogar 90mm

少し知名度の低いMeyer-OptikのTelefogar 90mm。
中望遠の画角としては少ないぐるぐるボケの出るレンズです。
また1960年代製造と古いレンズの割に、コントラストやシャープが高く面白いレンズです。
→ 深いコントラストとピント面の飽和感が楽しいTelefogar 90mm / Meyer-Optikの黄金期の中望遠 in 代官山
購入時の参考
少し珍しいKMZ製の白ラインHelios 44-2

ソ連時代の共産主義の影響で、いくつかの名前の違う工場名でヘリオスが作られていたことがあり、外観や作りが若干違いますが、写りの基本となるレンズ構成は一緒ですのでHelios 44〜とつけば似たような写りにはなります。
eBay価格だと送料を入れると5,000〜10,000円ぐらいでしょうか。ヤフオクなら8,000〜15,000円ぐらいかと。
数が多くて回転も早いようなので、基本的には値段に比例したレンズ状態のように思えます。
とはいえ、高いものの中に粗悪品がある場合もあり得ますので、業者の評価や説明文章から読みとくより他はないのかとも思います。
マウントについて
今回は色々なヘリオスの投稿から集めて記事にしていますが、全てSONY α7ですので、M42 → SONY E(NEX)マウントで、
を使っています(後半の「ぐるぐるボケが見られるレンズの紹介」の写真は除く)。
→ その他のカメラメーカーで使えるマウント一覧や留意点を記事にして解説していますので、マウントで疑問点等ある方いらっしいましたらぜひご覧ください。
撮影カメラ情報
SONY α7

Raw現像
現像はAdobe BridgeCC2017で、レンズの特性を写真に残したいのでコントラストや彩度等、一切いじらず、ノー調整、ノーフィルターです。
たまに露光量で明るさを揃える程度に留めています。
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