2017 / 05 / 10

Digital Camera

変わり種を発見!Zeiss Ikon Novar-Anastigmat 75mm 3Dプリンタ出力M42マウント仕様と宮の坂と下高井戸を歩く

変わり種を発見!Zeiss Ikon Novar-Anastigmat 75mm3Dプリンタ出力M42マウント仕様と宮の坂と下高井戸を歩く

中盤カメラ用のレンズを3Dプリンタでヘリコイド部分を作りM42マウントとしたという、なんとも今時な筐体をeBayで見つけてしまいました。レンズ沼の住人が気にならない訳がありません。

レンズとメーカー紹介

Carl Zeiss Ikon Novar-Anastigmat 75mm F4.5

まるでラー油の瓶のような形です。

ざっとwebで調べた感じだと、1930年代〜1950年代ぐらいのZeiss Ikon製スプリングカメラという、当然ながらフィルムカメラに使われていたようで、75mm F4.5だとNETTARと言う比較的手頃な普及版のカメラのレンズだったようです。

IKONTA、CONTINA 、IKOFLEXといった値段の高いカメラにもF値や画角が違うNovar-Anastigmatの名前を見かけますので、それなりに市場に出回っていたレンズだったのかと。

そのレンズに3Dプリンタで出力した特性M42ヘリコイドをつけてしまったようです。


温故知新ですな。

M42マウントですので5Dに装着できます。ミラー干渉も全く問題なし。
付けると素晴らしく奇妙で楽しいカメラになります。道ゆく人の視線も普段より感じました。


装着してわかりましたが、中盤用サイズのレンズなのか75mmの表記ですが、5Dだとほぼ等倍50mmくらいの画角でした。
手薄な中望遠で変わったレンズが手に入ったと思っていたので少し残念ですが、ちょっと試したところいい感じに写ったので街撮りの日を楽しみにしていました。

本日のアジェンダ

・強引な気がするレンズだけど、お金の無駄ではなかったか検証する
・前回まさかのバッテリー切れで撮りこぼした、世田谷線の宮の坂駅の世田谷八幡宮からスタート。

街歩きに合わせて、ボケ、シャープさ、色のりなど検証


開放F4.5とボケを期待するレンズではないので、絞りの基準で話になるF8.0でだいたい撮影してます。


まずなにより予想に反して結構シャープです。


と言うかレンズ状態がいいのか全然古さを感じさせないバランス。
空へこれだけ向けて、この暗部の感じならハレーションもあまり気にしないで良さそうです。


シャドウが締まるし、少し荒い線がコントラストを引っ張りあげるような感じ。
色のりも問題ないですし、解像度もシャープさも年代を全く感じません。何より撮りやすいです。


以前、年代物のKonishiroku Hexar 50mmを持ってたんですが、レンズ曇りのせいか、かなりソフトフォーカスになってしまって使いづらく、今回も古いレンズなので多少同じような心配をしていたんですが、全くもって杞憂。
Novar-Anastigmat、どこ吹く風でよく写ってくれます。

宮の坂駅前になにやら展示があります。

こちら大正時代の世田谷線とのこと。途中で鎌倉の江ノ電も走ったようです。
そういえば、路線の作りが似ているような気も。

中に入れました。

開放で少しボケを入れ込んでみましたが、ピント面なんすかコレ、距離もあるのに凄くシャープ。でもとても優しい味わいのある線。今までのどのレンズぽくないです。


いやはや、またこのノスタルジーな車内の雰囲気に合います。


3群3枚のトリプレット型のレンズ構成というのをこの記事を書いている時に見つけました。
レンズ構成である程度描写の予想が立つことが最近分かってきたので、この辺は事前に調べるべきなんですね。学びました。


安定感も色味も申し分ない感じで、それでいてフィルムのような風合いがあります。中盤レンズはみんなこんななんでしょうか。
マウント部を外したらかなり小さいパンケーキレンズですが、恐ろしく写ります。


日差しが入って表情が変わりましたが、充分な風味。


外へ出て世田谷線のホームへ。日陰ですが充分過ぎる表現力。
なんと言うか時代も自分もどっちに向かっているかよく分からなくなって来ました。

下高井戸へ移動

古い列車に長居をしてしまいましたが本日の移動を開始です。宮の坂駅から世田谷線に乗ります。
平和な世田谷線をひとまず終点まで行ってみようと下高井戸まで。


降りてみると右手に雰囲気のある看板が。
行くべきでしょう。本日は下高井戸に決定です。


イメージほど大きい市場ではありませんが、賑わいのある場所でした。
とはいえ奥のほうの店は移転や閉店の張り紙もあり少し寂しい感じも。


軽食や惣菜的なものがありましたが、まだ落ち着くような頃合いではない感じで市場外へ移動。


ピント面の木の風合いいいですね。
奥のボケ、輪郭が残りますが硬いボケとは言えず、優しいボケですが、決してHelios44やXenerとも違う優しさです。


左からの光が少し強かったですが、3Dプリンタ出力の半純正フードのおかげかハレーションは気になりませんでした。
どうでもイイ事ですが、ピントは右中央上、二段目の棚の「ショパンの手紙」に合わせてます。なんとなく目に入るタイトルです。


奥が案外ボケました。
3群3枚トリプレット型だと、Heliosなどのガウス型に比べ四隅へはバランスがいいタイプのようですので、ボケの風合いとピント面の表現がポイントになるということでしょうか。


何度も書いているように、ピント面は申し分ないかと。
このレンズの1930〜1950時代で既にここまで出来上がっていたと思うと、レンズは便利な方向にしか進んでないということでしょうか。なんとなく分かっていましたが、やっぱりそうなのかと。

更に商店街をふらふらと。

市場がある下高井戸駅の北側は、比較的古い街並みが残っていて撮りやすい雰囲気です。


最近、多分わかったんですが、古い街並みって光の反射が柔らかいと思います。きっと壁などが反射を吸収して柔らかく分散してくれるのではないかと思います。


チェーン店が多い街並みだと、光が乱反射するような感じで強く照り返すのではと。
特にオールドレンズはレンズのコーティングが弱く、強い光には弱いので影響が出やすいかと。


その辺踏まえて、下高井戸の北側は比較的オールドレンズで撮りやすい街並みかと思います。


夏に向かって行くような空。雲のシャープさいいですね。


凄く勝手なイメージですが、昔よく見た昭和の写真家の暗部に似ているような気もしてきました。
かなりオールドなオールドレンズの風合いとCanon 5Dの描写力がマッチしているような気がします。


決してライカのように繊細とは思いませんが、今まで試したレンズの中でも、類を見ない独特な描写です。


Schneider Xenonならこの線とコントラストが出る気もしますが、Anastigmatだと荒々しさの良さがある気が。


反面、絞りを開けばこの優しい絵でもスッと無理なく表現できるし。
なんか最近どのレンズも褒めてばかりな気もしてきました。


いやでも、この個性は褒めるべきかと。
「もっと撮りたくなるレンズ」そんなキャッチコピーつけたいです。なんか安っぽいコピーですが。


この奥のボケは少し荒れてます。うるさいとまではいいませんが、なにか収差の問題が出ていそうです。
でもピント面とのバランスはいいかなと思ってしまうほど、このレンズに惚れてしまったかも。

購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考

Carl Zeiss Ikon Novar-Anastigmat 75mm F4.5

最短撮影距離110cm、10枚羽、3群3枚レンズ構成のトリプレット型。
いつものeBayでvintageglasという1272件の取引履歴100% Positive feedbackの業者から諸々込みで10,587円で購入。

商品説明はいっぱい書いてありましたが、レンズ仕様や改造の話、M42マウントにあたってなどが大半で、状態については
鏡筒はいくつかの小さな傷がありますが、全体的に良好な状態です。レンズは良好な状態で、傷やカビはありません。レンズの間には少しの埃がありますが、この年代のレンズでは普通のことです。
といった感じ。

届いたレンズは、掲載の写真でもわかるようにとてもいい状態だと思います。製造からの経年を差し引けば相当いいのではとも思います。

フィルムカメラの知識は全くないので、色々ついているものの意味がよく分かりませんが、中身のシャッター機構などは全て取り払ったと説明にもあったので、何かの拍子にそういったところが壊れるようなことはないようです。


ちなみにAnastigmatという名前は調べると「収差や像面の曲がりを補正してあるレンズで、写真レンズのほとんどに使用されてる」と出るので名前ではなかったようです。

今で言うASPH(Aspherical)非球面レンズの表記みたいなもんかと。なのでNovar F4.5 75mmみたいな呼び方が正しいのかもしれません。

購入に際して

eBayでNovar-Anastigmatで探しても、スプリングカメラばかり出てきます。
これを買っても楽しいかもしれませんが、購入金額以上に色々かかりそうでちょっと怖いです。

もし今回のNovarみたいなレンズに興味あれば、今回のセラーvintageglasを見てみるのはいかがでしょう。

同じように古いレンズを3Dプリンタで出力したモデルがまだいくつも売ってます。
SONY Eマウントが多いので、ほぼα7シリーズ向けになってしまいますが、今までも古いレンズを売ってきているようなのでしばらくすると別なものも出でくるかもです。
実は既にもうVoigtlanderを一本買いました。昨日買ったのでまだ届くのは少し先かと。当然そちらも記事を書きます。

一点ご注意で、今回のNovarも画角75mmが、35mm一眼レフのCanon5Dでは、ほぼ画角50mmでしたので、画角の広い35mmレンズとかはもっと小さく広角になって四隅がケラれて完全に丸型の写真になってしまうかもしれません。
この辺フィルムの知識がないのでよくわかってないもので中山もよくわかりませんのであしからず。

マウントについて

Canon 5DmarkⅢ(Canon EFマウント)、SONY α7(SONY Eマウント、NEXとも言う)では問題なく使えました。この辺です。

 

 

  
マウントはカメラによって干渉等でうまく使えないこともありますので、ご自身のカメラでの使用の参考としてください。
また初心者向きの内容で、マウントについての記事を書きました。マウントに疑問点がある方はぜひ。

フレア、ゴースト、ハレーション


3Dプリンタ出力の、のべ純正フードがついてますが、流石にこう言ったレンズに光が入りやすい角度はちょっとハレーション気味でしょうか。


完全にハレーション起こしましたが、少し変わった雰囲気です。
レンズが小さいからかハレーションが回りきって、まんべんなくシャドウが白んでいるような気が。
これはこれで面白いのかもしれません。

少し足りない写真の反省、分析


右上のミラーの中の空はイメージ通り出ましたが、バイクはちょっと暗いですね。
補正しちゃえば訳ないですが、それでは腕が上がらないかと備忘録として掲載。

絞りとシャッター速度の比較

絞りF4.5、シャッター速度1/1000、ISO250

絞りF8.0、シャッター速度1/1000、ISO1000

右側のボケは違いがわかりやすいですが、ピント面はパッと見で違いがわからないです。
鉄の錆びの辺りはわかりやすい気もしますが、よく見ないとわからないのでは。
面白いレンズです。

向いている撮影の方向性、ポートレートレンズとして

人物撮ってみたいですねー
肌がどのように出るかが何よりポイントでしょうが、少なくとも街撮りで引き目のフレームなら絶対いい味がでるかと。

歩いた辺り『下高井戸』

街撮りオススメ度★★★★☆=4


駅の北側は街並みとして撮りやすいですのでこちら側はおすすめできます。
反面、南側は賑わいこそありますが、チェーン店が多く特性があまりない通りなので、街撮りには適していないかと。


また、街撮り後に休憩がてら休むようなところは少ないので、歩きながらしっかり店を決めておいたほうがいいかもしれません。


この辺りに区の告知板があり、付近に再開発が入る旨のことが書いてありました。
だから退去している店舗があるのかもしれません。


街歩きライクな場所が、なくなるのは寂しいですが、日本の流れで仕方ないんですかね。


駅の南側は、完全に今時の商店街です。
学校があるようで、若い人の行き帰りが多く活気はありましたが、街撮りの雰囲気ではないかと。


本日はここで次回の場所は決めず終わることにしました。
下高井戸から京王線に乗ったままスタートしようと思います。

撮影カメラ情報

Canon 5D markⅢ

BL6A1471
カメラは5DmarkⅢ、画質はraw非圧縮撮影のみでjpgは残しませんので、ピクチャースタイルはスタンダードですがrawには反映されないはずですので全く関係ないかと思います。
また、最近はカメラの撮影モニタは露出以外あてにならないものと思ってます。

構図の確認もフレーム内の構成物のバランスが全然違って見えてしまうので、あまり気にしないようにして、最初に見えたフレームをきちんと意識するようにしています。
モニタの確認で構図のバランスが悪く撮り直したものって、後で見るとなんか作った絵って感じがすることが多いので。

Raw現像

現像はAdobe BridgeCC2017で、レンズの特性を写真に残したいので、調整は最小限の露光量で明るさを調整する程度に留めています。
比較写真などでは、ホワイトバランスを揃えることもあります。

絞り

今回は常時F8.0で、このフレームは少しでもぼかしたいと思った時にF4.5開放としました。

シャッター速度

今回も外の昼間なので1/500〜1/1000ぐらいでした。

ISO

オールドレンズのため、カメラの露出測定はレンズや絞りに応じてかなりブレがあってざっくりとしか合わないので、撮りながら合わせる感じです。

ホワイトバランス

ずっとオートでした。

補足

最近文字数や写真が増えてきて「読みづらいかも」と思わなくもないですが、載せたい写真や書けることがあるならいいのかなと思ってます。

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