2018 / 03 / 06
単焦点オールドレンズの良さをポートレート撮影で! vol.6 ー ぐるぐるぼけのヘリオス / HELIOS 44-2 58mm、ポートレートに最適ジュピター9 / Jupiter-9、星ボケのインダスター / Industar 61 L/Zほか全8本
Biotar 58mm, Helios 44-2 58mm, Industar-61 L/Z 星ボケ, Jupiter-9 85mm, Samyang 85mm, ドイツレンズ, 韓国レンズ, ポートレート
ポートレートには目を中心として急速にボケていく85mm〜135mmぐらいの中望遠レンズが適していると思いますが、オールドレンズは写真の隅に向かって飽和しやすくも柔らかく写るので、標準画角レンズでも同じような雰囲気を試みてみたいと思います。
Helios 44-2 58mm
今回は自然光をメインにしながら照明を立てています。
LEDライトを頭上から二灯と、中国製の5,000円くらいのスピードライト・ストロボを正面からでメインとなっているのはなんと5,000円のストロボです。ありがたい時代になったもんです。(使用した照明は最後に記載しています)
上記セットでいい状態を作れたのでほぼ撮って出しです。
コントラストや彩度等、一切いじらず、ノー調整、ノーフィルターで、明るさ調整のみ数枚で、レンズの特性をかなり前面に出す撮影ができたとのではと思います。
ざっくりアジェンダ
・6本の標準画角オールドレンズでポートレート撮影!
HeliosとBiotarは58mmと少し望遠気味ですが、カテゴリ的には標準レンズで問題ないと思います。
↓ Helios 44-2
↓ Biotar
↓ Industar-61 L/Z
↓ Jupiter-8
↓ Industar-61 L/D
↓ Novar-Anastigmat
中望遠の85mmも!
↓ Jupiter-9
↓ Samyang 85mm
・使用カメラや照明機材など ↓
Helios 44-2 58mm F2.0 / VALDAI
独走態勢のオールドレンズの代表格ヘリオス。
そのヘリオスのシリーズの中でも一番汎用的と思われるHeleios 44-2で撮影してます。
案外ポートレートできちんと試した機会は少なく、今回のように何枚も撮ったのは初めてです。
また今回モデルさんから明るさの調整しないでもいいんじゃという提案があり、確かにそれもいいのかもと思い、上記の写真のように少し暗めの写真もそのままにしています。真の撮って出しかと。
比較的天気のいい日でしたので、窓をバックにすると豪快にハレーションを起こしてます。
柔らかい感じはこれでもいいと思うんですが、髪のコントラストがなくなるのはやはり厳しいかと。
絞りはF4〜F5.4ぐらいで、ボケよりも目のシャープさを優先に撮ってますので、少しヘリオスの豪快なボケのイメージとは違うかもしれません。
それでも両目の距離が変わると結構ボケます。
上記は手前の右目にピントを合わせて全体のバランスがとれたかと。
豪快にボケていると思いますが、奥行きが近いからかボケの歪み的なものはあまり感じません。
ぐるぐるボケを狙うより近距離でソフトに撮る方がヘリオスの味が出るポートレートになるのではと思いました。
Biotar 58mm F2.0 / Carl Zeiss jena
街撮りでアップしている最近のBiotarの記事は、実は今回のポートレートのあとです。
今回のポートレートでいい味を見せてくれたのでもう一度街撮りをしようと思い立って、まとめやすかったので先に公開している流れです。
このレンズBiotar58mmの祖先が、先に紹介したHelios 44-2のコピー元となっているようで、スペックも似ており写りも似ています。
が、
一見してわかると思いますが、Biotarのほうがシャープです。
シャープと言うより解像度が高い印象かとも。描写の優しさは同じような雰囲気に感じます。
絞りもF4.0〜F5.4ぐらいでヘリオスと同じような撮り方をしていますので諸々の条件もほぼ一緒ですが、解像度が高い = 階調表現が細かいと言うことでしょうか、細かなコントラストがあるように思えます。
だからなんでしょうか、露光が低くても表現が足りていて絵作りがしやすい印象です。ヘリオスだともう少し潰れた感じなる気がします。
Biotarはもう少し掘り下げてみたい魅力があります。
Industar 61 L/Z 50mm / LZOS
オールドレンズらしからぬシャープな切れ味と、星ボケの特性をもつIndustar 61 L/Z。
今回は星ボケではなく、シャープな切れ味をポートレートで試します。
たぶん現代レンズのようにシャキッと撮れるだろうな思っていましたが、やはりクリアでいい感じです。
髪も肌もいい感じで表現できているのではと。
それでいてこの距離でも背景にいいボケ感があります。
もはや誰もオールドレンズとは思わないのでは。
シャープ感、コントラスト、ボケ感、質感どれも問題を感じません。
反対に言えば特徴がないとも言えるかもしれませんが、安全で使い勝手がいいのは間違い無いです。
最短撮影距離が30cmあると、この距離感でもいけます。
多分まだ距離に余裕があったはずです。
こうやって振り返ってみると、もっと絞りを開いても良かったのかなと思います。
HeliosやBiotarと同じようにF4〜F5.4ぐらいで撮ってました。もう気持ちボケたほうが優しい感じが出て良かったのかもと。
Jupiter-8 50mm F2.0 L39
小さいながらも、優しい写りがフィルムっぽさを感じさせるパワーを持つJupiter-8。
最短撮影距離が100cmと寄れないことの制約がまた良さな気もしています。
ここまでのレンズに比べピントがあまくなりましたが、あまいと言うより優しいで合っているのではと思います。
ホワイトバランスをオートにしていたのでオレンジがかった感じになりましたが、こちらも優しい感じでいいのでは。
最短撮影距離100cmとはいえ、この距離感がとれればボケが被写体を引き上げてくれますので、十分ポートレートにも使えるのではないかと思います。
ハレーションはやはり豪快ですね、髪のあたりがヘリオスよりも白んでます。
この辺は製造の年代に比例する気もします。
それでも少し絞って角度も少し変えるだけで、これだけ描写が変わるのがオールドレンズの面白いところでは。
レンズも小さく持ち歩きやすいので、街撮りにも人物撮りにも楽しめるかと思います。
Industar-61 L/D 53mm F2.8 L39 / FED
L39マウントのIndustar 61 L/Dで、星ボケのIndustar 61 L/Zと名前が似ていますが、星ボケは出ないですし写りも全く似ていなく別物です。
正直、「近くにあったので試しました」のノリだったんですが、思いのほか表現力があったので続行です。
ちなみに同じようなノリでSmena-8(T-43)も試したんですが、こちらはちょっとダメでした。風景だと乾いたいい雰囲気が出るレンズなんですが。
先ほどのJupiter-8に近い感じがしますが、もっとハレーションを起こしやすいためか更に白んでます。
ほぼ向きや光も変わらないと思いますので、明らかにレンズの描写の差と思います。
ボケはここまでの中のレンズで一番弱い気もします。
Jupiter-8と同じ最短撮影距離100cmですが、この辺はレンズ構成の違いから来るものなのかと。
チープなレンズのため画像周辺へのボケの歪みが強く感じますが、これはこれでフィルムっぽい感じがしていいんじゃないかと思うほうです。
価格帯からのチープ感、星ボケの出ないIndustar-61というネガティブ感からすると十分働いてくれた感じを受けました。
Novar-Anastigmat 75mm (50mm)
恐らく今回のレンズの中で一番古いこのNovar-Anastigmat。
古いスプリングカメラからレンズのみを外して3Dプリンタでマウントが作られているユニークなレンズです。レンズの詳細はこちらの投稿に。
75mmと書いてはありますが、フルサイズ35mm換算だとだいたい50mmになるようです。
前回のポートレート撮影でのハレーション気味のショットが「柔らかくて好きな感じ」という感想が、モデルさん本人から出たので急遽投入です。
なんというか、オールドも現代もなく写真のみをちゃんと見ないといけないなと、じっと手を見る感じです。
他のレンズとホワイトバランスが変わって青っぽいのは「オート」にしていたためです。
照明を焚いているなら本来ホワイトバランスは固定にすべきですが、この日はいい青空にちょこちょこ雲があって、太陽が隠れるとぐっと暗くなる日でしたので、どんどん変わるホワイトバランスを合わせていられないのでオートにしていました。
Jupiter-8やIndustar-61 L/Dに比べてもそんなに見劣りしないです。むしろ確かに優しい。
シャープ感も思ったよりあります。
最短撮影距離は100cmぐらいと思われ、この距離感で限界ぐらいだったかと。
このレンズは今まで、街撮り、外でのポートレート、今回の室内ポートレートと使いましたが、全部違った描写の印象です。
なんとなくですが、古くてコーティング等少ないレンズほど、その日の光で表情が変わり面白みがあるような気がする今日この頃です。
すいません実は85mmを一番撮ってます
というより本当はこっちをメインに撮影をして、合間に50mmを試したのが本当のところです。
50mmでポートレートは勇気がいりますので^^;
Jupiter-9
かなりの経年感のこのレンズ。
中のネジ穴が舐めてしまっていて、絞りが目盛りを飛び越えてしまうので完全に自分用です。
それでもいつもいい描写を見せてくれます。
こんなにシャープなの!?
と思えるぐらい今回は絞っています。F5.4〜F8.0ぐらいで更にフードもつけていますので、ちょっと今までのJupiter-9と印象が違うかもしれません
それでもやはり逆光はこれまでのレンズと同じようにハレーションがすごいです。
レンズフードもつけているのでもう角度以外はやりようがないかと。
ちなみに窓にはトレーシングペーパーを貼って外光を弱めてます。それぐらいしないと室内のストロボと光が合わないいい天気の日でした。
ただ前述のように太陽が出たり陰ったりだったので、曇った時は青っぽく写っていると思います。
まあやはりJupiter-9です、この優しさは。
人物に最適のレンズです。
85mmの画角、人肌に合う解像度、柔らかい溶けるようなボケ。
諸々のスペックがポートレートにとてもちょうどいいです。
Samyang 85mm
中山の中ではオールドレンズの部類のSamyang 85mm。
手頃で現代レンズの写りが出るマニュアルレンズとして、いいコスパを持ってます。
シャッキッ!
かなりシャキッとしました。清潔感と考えてもいいのかもと。
ちょっとこちらはカリカリ過ぎかもしれませんが。
さすが現代レンズ、だいぶ逆光にも耐えています。
これだけコントラストが出れば全く問題ないのではと。
こちらはグッとぼかしてますかね。現代レンズとはいえ、絞りのメタデータは残らないので予想にはなってしまうのです。
目にジャスピンがいってませんが柔らかい感じとしてこれはこれでいいのかと。
十分いいレンズと思いますが、やはりオススメはJupiter-9ですかね。
このSamyang 85mmは、キリッと撮る必要がある時にあると便利なコスパと思います。
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リペア・調整したレンズのみ販売しております。購入をお考えの方いらっしゃいましたら、ぜひよろしくお願い致します。
マウントについて
Canon 5D markⅢですので、M42 → Canon EFマウントで、
を使っています。
Helios 44-2は無限遠付近でミラー干渉がありますが、今回のように近い範囲の撮影なら何の問題もないです。
Biotarは型によって無限遠まで回らないモデルもあります。詳しくはBiotar58mmの投稿をご覧ください。
→ その他のカメラメーカーで使えるマウント一覧や留意点を記事にして解説していますので、マウントで疑問点等ある方いらっしゃいましたらぜひご覧ください。
撮影カメラ情報
Canon 5D markⅢ
カメラは5DmarkⅢ、画質はraw非圧縮撮影でホワイトバランスは「オート」。
現像はAdobe BridgeCC2017で、レンズの特性を写真に残したいのでコントラストや彩度等、一切いじらず、ノー調整、ノーフィルターで、露光量での明るさ調整も今回は数枚程度です
絞りはF4.0〜F8.0ぐらいで、このブログの中では比較的絞っている方の撮影と思います
シャッター速度はストロボの動機があるので1/200で、ISOはそのフレームに応じて明るさを合わせる感じで使います。
使用照明
LEDライトを頭上から二灯と、中国製の5,000円くらいのスピードライト・ストロボ。
ストロボはこちらで無線で動かしてます。
またアンブレラも中国製。
スタンドはこちらのを使い回しています。
諸々の接点などはこちら。
LEDライト以外はどれもとても手頃でとてもありがたい時代です。
LEDライトもこれから手頃なものを試して行こうと思ってます。
Biotar 58mm, Helios 44-2 58mm, Industar-61 L/Z 星ボケ, Jupiter-9 85mm, Samyang 85mm, ドイツレンズ, 韓国レンズ, ポートレート
“単焦点オールドレンズの良さをポートレート撮影で! vol.6 ー ぐるぐるぼけのヘリオス / HELIOS 44-2 58mm、ポートレートに最適ジュピター9 / Jupiter-9、星ボケのインダスター / Industar 61 L/Zほか全8本” のコメント
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こんにちわ。今回のはなかなかの大作ですね!
SAMYANGのが比較対象になってすごく分かりやすいです。
しかし、きちんと撮影すればどのレンズもこんなに素敵なポートレートが撮れるのですね。
とても及びません。
ざっとみて、いいなと思ったのがインダスター61Zでした。
星ボケのみにしか注目してこなかったからでしょう、レンズの実力を見誤っていたなと思います。
ビオターとヘリオスも並べるとけっこう違いますね。
並べられないと僕には見分けつかないと思いますが(笑)
ヘリオスの方がやはり、ちょっと雑というか、大雑把というか、
本家の方がシャープにみえますね。
ありがとうございます!
まとめるのに結構大変でしたが、ハレーションの写真比較を軸にいいフォーマットでまとめられたのではと思ってます!
確かにSAMYANGはいい比較対象になってくれてありがたいです。
コスパとしてもとてもいいのではと思います。
IndustarL/Zはかなりの表現力ですよね。とはいえ個人的にはもう少しオールド感も欲しいかなと思うところもあり、私は今回はBiotarですね。
こちらをまだまだ撮り倒したいと考えています!
ヘリオスはコスパ的に、写りも無難なんでしょうね。
でもそのちょうどよさが人気の秘密の気がしています。
5D Mark3で Raw非圧縮で撮影して、Adobe BridgeCC2017を持ちながら、調整・補正しないのはもったいないですね・・・。
コメントありがとうございます。
もともと紙やwebのデザイン仕事をしていましたのでPhotoshop、Bridge等の補正はかなり出来ますが、このブログではレンズ本来の写りを載せたいので未調整で載せています。
ブログ以前は作り込む写真もやっていましたので、いつか再度やってみたいとは思っています。