2018 / 12 / 31
オススメのオールドレンズ4本!【初心者・万人向き】まずはコレを基準に選ぶべき!ヘリオスやインダスター61など
Flektogon 35mm Zebra, Helios 44-2 58mm, Industar-61 L/Z 星ボケ, Jupiter-9 85mm, ドイツレンズ, ロシアンレンズ, オールドレンズ備忘録
3年ほど色々なオールドレンズ持ち歩き、ブログを書いてきた知見と、リペアの経験からオールドレンズのおすすめ一覧みたいなものを書こうと思い立ちました。
本日のアジェンダ
まずは「初心者・万人向きレンズ」として、オールドレンズをこれから始めたい人や、まだ勝手がよくわからない人など万人にオススメできると思うレンズ達の紹介をしたいと思います。
『東京ぶら街写真。』が薦めるオールドレンズ達!
レンズ名 | 画角 | 絞り | 一言特徴 | 最短 撮影距離 |
製造もと |
↓ Helios 44-2 |
58mm | F2.0 | ぐるぐるボケ | 50cm | ロシア 主にVALDAI |
---|---|---|---|---|---|
↓ Industar-61 L/Z |
50mm | F2.8 | 星ボケ | 30cm | ロシア LZOS |
↓ Jupiter-9 |
85mm | F2.0 | ポートレート ・一輪の花 |
80cm | ロシア LZOS |
↓ Flektogon Zebra |
35mm | F2.8 | 街撮り・近撮影 | 18cm | Carl zeiss jena |
とはいっても初心者の時だけでなく、上級者になってからも十分使える特性を持っていますので長い期間楽しめるレンズ達と思います。
また、Biotar58mmやSonnar135mmなど、続編として【オールドレンズの選び方!中級編】 7本!も書き上げました。
合わせてご覧ください!
ぐるぐるボケのHelios 44-2 58mm F2.0
オールドレンズの中で圧倒的な知名度の高さ、コスパの良さでオススメのHelios 44-2。
ぐるぐるボケと言われる背景が回転しているような、レンズ描写の歪みがつくる現象がとても印象的です。
ぐるぐるボケの出し方についてはこちらに記事を書いています
ぐるぐるボケでなく、比較的綺麗にスッキリ撮れるピント面や、トロけるような柔らかいボケ、そして手頃な値段と、お勧めしやすい材料を揃えています。
またハレーションの起こりやすさから来る白んだ写りで、雰囲気が淡くなる描写がロシアンレンズは総じて起こりやすく、柔らかい味に撮れることが多いです。
個人的にはこのロシアのレンズが共通で見せる白っぽい写りとして「ロシアンホワイト」と呼んでいます。
このロシアンホワイトは詰まるところ、絞りの開閉時に入ってくる光の拡散範囲のコントロールであり、ボケが豪快に見える材料でもあるので、ロシアのオールドレンズの面白みのひとつでもあると思います。
絞りの開閉時に入ってくる光の拡散範囲のコントロールとは
Helios 44-2 絞りF2.0
オールドレンズ全般に言えることですが、絞り開放と少し絞った状態でのハレーションの具合が、現代のレンズに比べて大きく違います。
Helios 44-2 絞りF2.8
このヘリオスで撮った3枚の猫の置物の写真は、逆光気味の窓際で絞りを少しづつ閉じています。
Helios 44-2 絞りF4.0
右側の白い靄のようなものがハレーションで、これほど写りに影響しています。
実際に写真に生かすのは、光の位置や強さ、レンズの特性を理解する必要がありますが、この部分も操れるようになるとオールドレンズがもっと楽しくなるのではと思います。
Heliosの記事
ヘリオスの仕様などについて詳しくはこちらの記事をどうぞ。
→ 「豪快なぐるぐるボケ ロシアのオールドレンズの大御所!」
→ 「ぐるぐるボケと深いボケのロシアンレンズ Helios撮影テスト館」
その他たくさんHeliosの記事を書いてます。
星ボケのIndustar-61 L/Z 50mm F2.8
かなり特徴的な星形のボケを持つレンズとして有名なIndustar-61 L/Z 50mm。
絞りの羽根の形が少し変わっているため、F5.6〜F8.0付近で近撮をすると遠くの光の粒が六角形の星の形になることがあります。
※星ボケはHeliosのぐるぐるボケと同じ要領で出せます
またシャープな描写や、レンズの穏やかな歪み具合、安定した色味など、比較的万能で使い勝手のとてもいいレンズです。
とはいえここに挙げた特徴は、言い換えると特徴が薄いとも言えなくもないので少し注意が必要かもしれません。
もう一点このレンズの面白いところとして、この時代の標準画角レンズとしては、かなり寄れる部類の撮影最短距離30cmを持っていて、花のドアップなどが容易です。
ですので星ボケを狙う際は、この最短撮影距離を利用して近くにメインの被写体を持ってくると星が出やすいです。
紛らわしいIndustarシリーズや、星ボケにならないモデルもある
少し注意が必要な点として、似たような名前のレンズで「Industar-61 L/D」があります。こちらは別のレンズで「L/Z」と「L/D」の違いです。
またもうひとつ重要な注意点として、「Industar-61 L/Z」の中でも、70年代初頭のモデルの中に星ボケにならないタイプのレンズがあります。こちらは微妙な外観の違いから判断しないといけないのでなかなか厄介です。
※星ボケにならない「Industar-61 L/Z 50mm」についての記事
Industar-61のその他の記事
Industar-61の仕様や星ボケの詳しい描写についてはこちらをどうぞ。
→ 「星ボケとシャープな描写のオールドレンズ in 高円寺」
ポートレート・一輪の花等にJupiter-9 85mm F2.0
人物や一輪の花など、一点に集中しやすい85mmという画角であるうえ、比較的ソフトに写るピント面のため、優しい淡い描写を目指すのに適したレンズです。
絞りを結構絞るか、レンズに光が直接入らないような位置で上手く構図を作れれば、案外シャープさが際立ちますので、状況やイメージに合わせた表現幅が広いレンズでもあります。
また前述のヘリオスと同じように、絞り開閉での光量調整によるハレーションの影響が出やすいので、フィルターソフトかけたような描写なども可能で楽しいです。
ハレーションで淡くなりやすい、柔らかく適度にシャープなピント面、85mmという望遠気味の画角、といった理由からポートレートや一輪の花など、一点に集中した構図にぜひ試していただきたいレンズです。
Jupiter-9の他記事のご紹介
筆者中山自身がお気に入りレンズということもあって比較的使用回数が多いです。
→ Jupiter-9の記事一覧
Jupiter-9の詳しい仕様などについてはこちらをどうぞ。
→ 「繊細なピント面 被写体を優しく浮き上げるボケ」
銘玉Flektogon 35mm Zebra 街撮り・近撮影に最適!
銘玉と呼ばれるのにふさわしいFlektogon 35mm。個人的にも大好きでオールドレンズを始めた方にはぜひ試していただきたいレンズです。
35mmという撮りやすい画角、18mmまで寄れることで可能な自由度が高い絵作り、ボケやハイライトの絶妙なビンテージ感、適度なシャープ感やコントラスト、そしてさらに個人的には適度なレンズ歪みがこのレンズの良さと思っています。
一番手軽なのは近撮影。
料理やドリンクなどのフードを撮るのにもバッチリですし、花などに近づいて後ろをボカす事が容易です。
フレクトゴンのシャープさやコントラストが一番生きるのは、雨の日、日陰気味、強い色味のフレームかなと思います。
またボケとハイライトが混じると、飽和感がノスタルジックになりやすく、ビンテージ感が強調されるのではと。
少し離れた構図では、絞りを解放近くで撮ると、周辺光量落ち(ビネット)と合間ってコントラストの高まりがいい具合に活かせたりと盛りだくさんです。
さらにこちら果物のコントラストも綺麗ですが、この写真で一番好きなところは「やんわりとした歪み」です。
これはフレクトゴンに限らずではありますが、オールドレンズの歪みはレンズによって様々で、ビンテージ感や撮影場所の雰囲気を出すのに大事な要素と思います。
フレクトゴンの大事な注意点「バルサム切れ」
三日月のような曇りがバルサム切れ(右上)
いい事づくめに思えるフレクトゴンですが、この時代の貼り合わせレンズに使われていた接合材が起因で「バルサム切れ」という曇りの問題があります。
理由はなんであれ曇りは曇りなのでバルサム切れの量が大きいとボヤッと写ります。
上記ぐらいならほぼ問題ないですが、中には半分ぐらい曇ったものも見たことがありますので注意が必要です。
右側に薄っすらと少し大きめ
そしてこのバルサム切れは出品者の知識や良心を信じるしかないような市場の状況で、少なくともバルサム切れが「ある or ない or どのくらい等」の記述がないFlektogon 35mm Zebraの購入は控えたほうがいいとも思います。
またFlektogon 35mmは大まかに、Silverの外観と、本レンズのゼブラ柄、真っ黒の後期、と3つに分かれますが、Silverとゼブラ柄にバルサム切れの可能性があります。注意しましょう。
Flektogonの記事
Flektogon 35mm Zebraの詳しい仕様などについてはこちらをどうぞ。
→ 「噂通りの名玉 色乗りの良さとシャープな線のフレクトゴン」
Flektogonは、Zebraのほか、シルバー、黒F2.4、20mm等いろいろファミリーがあり記事もそれぞれに結構あります。
続編【オールドレンズの選び方!中級編】 7本!
Biotar58mmやSonnar135mmなど、もう一歩踏み込んだ続編として【オールドレンズの選び方!中級編】 7本!も書き上げました。
ぜひご覧ください!
少しややこしいマウントについて
オールドレンズだと最初に壁になるマウントアダプターの記事もあります。
マウントに疑問のある方いらっしゃいましたらぜひご一読ください。
この企画の前提
舶来レンズのみ(主にロシアとドイツレンズ)
国内のレンズでも、コスパの良さで人気のあるTakumarなども初級者の方にお勧めできますが、個人的に舶来のレンズを気に入ってこれまでブログを書いてきたので、筆者の中山が比較的よく知っている舶来レンズのみとしています。
M42マウントのモデルがある
M42マウントは圧倒的汎用性があり、圧倒的に初心向きでオススメです。
高くても4、5万円ぐらいのレンズ
現代レンズの単焦点レンズを買うとすると、4、5万円ぐらい〜(いわゆるエントリーモデルを除いて)と思いますので、オススメのオールドレンズというと、この辺の価格帯までぐらいがいいかなと考えました。
最初にかなり手頃なレンズをオススメしない理由
オールドレンズには3,000円〜5,000円ぐらいのかなり手頃なレンズもたくさんあり、一見すると最初に試すならこういったレンズがいいように思うかもしれませんが、単刀直入に言ってこう言ったレンズは扱いが難しいです。
描写の特徴がわかりづらかったり、使い勝手がよくないものも多いです。また状態が悪い故に安いこともあります。
このブログで具体的にいうとIndustar 50-2 50mmやSmena8 T-43あたりです。
ある程度オールドレンズに慣れてくると扱い方もわかってチープな良さも見えてきますが、最初にこの辺を試してしまうとオールドレンズがなんだかわからないままで終わってしまう懸念を持っています。
あとがき
やっと書き終えました。
ほんとは10本ぐらいでオススメ記事としたかったのですが、4日もかかって、もう年が変わってしまうので、ひとまず4本で収めました。
また続きは来年書くつもりです。
本年もありがとうございました。
良いお年を。
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