2016 / 05 / 01

Digital Camera

Industar-50 50mmシルバー鏡筒の乾いた写りは、ひと味違うロシアンレンズの趣

Industar-50 50mmシルバー鏡筒の乾いた写りは、ひと味違うロシアンレンズの趣

手頃な価格ながらよく写るのは、オールドレンズの時代背景と、設計者の意図や思いがレンズの個性にありありと出るからでしょうか。撮影者の好みに合えば、安くてよく写るオールドレンズほど楽しいカメラライフはないのでは。

レンズとメーカー紹介

KMZ Industar-50 50mm F3.5 1966年
ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
今回のIndustar 50は、有名なJupiterシリーズを設計したメルシブ博士マルツェフ(Мальцев)博士と同じらしく、やはり安価ながらよく写ります。
というか今回のIndustar50は程よく写るといった感じでしょうか。
Heliosのように万人におすすめはできないですが、いいレンズの影に名士ありと感じさせてくれるレンズです。

本日のアジェンダ

・ロシアンレンズの有名どころは試す企画で今回はIndustarの50。
・載せるほど枚数のなかったCHAIKAカメラのレンズIndustar-69 28mmも少し掲載

線の描写、色味

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
明るめの写真なら、爽やかな印象もあるぐらいカラッとした色味と思えますが、色のりがいいとは決して言えないとも。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
とはいえ、ロシアンレンズらしい淡い感じと、このIndustar50のサラっとした線は、被写体から一歩引いたぐらいの情景を記念として鮮明に残してくれるような印象です。
勝手な印象ですが、凄く良く写る「写ルンです」のようだと思いました。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
ハイライトの階調表現がロシアンレンズっぽいでしょうか。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
暗部の表現になるとどうもノリが悪い感じと思えます。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
特に強い日差しと緑で色が転びやすい印象がありますが、このチープな感じ結構好きです。
ホワイトバランスどうこうではなく、これはこれでいいんじゃないかと思います。
このクセがまたオールドレンズの良さなのかとも。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
クセや制約がわかりやすいルールで、ルールが見えやすいから工夫のしがいや狙い目のわかりやすさで楽しいのかと思います。
「写ルンです」もそのノリですよね?

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
暗いところは中々難しいです。
パキっといきたいフレームですが、絞ると「開放の周辺光量落ち」影響で中心が明るく見える術が使えず、もう一つ定まらない感じかと。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
Mir-1っぽいハレ気味のこちら。
やはり緑の転び方が目につきますが、そこが味であるような気も。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
やはり暗いと厳しい。光の持って行きどころ定まらないというか、電話を植物と対照的に金属的にキリッと見せたかったですが、絞っても平坦な感じになってしまったんです。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
この黒いのは絵なのか、インクが垂れてしまったのかよくわかりませんが、踊っている女性のようで好きな一枚。
これはレンズどうこうの一枚ではないですが。。。

ボケ味

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
こちらなんとかボカシてますが、このレンズは撮影最短距離がなんと100cmなので、ボケを活かした絵作りはなかなか難しいです。
画角50mmでこの最短距離だと、文字通り一歩引いた絵になるかと。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
ギリギリの撮影最短距離で、このぐらいに奥行きを持ってこれれば案外ボケます。
少しグルグルボケがでてるので画像周辺はブレも見えますが、そんなにざわついていないでしょうか。ソフトなボケかと。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
こちらでもグルグルボケでました。
この緑が赤っぽくなるオールド感好きですが、明度のほうでしょうか、もう少し階調表現がでればいいところへ持っていけそうなんですが。
とは言えこの中途半端感じが楽しくもあります。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
「乾いた色」この表現がバッチリではと。なぜかたまに恋しくなるような色味です。
ボケとの相性がいいかと。オールド感が増す気がします。

購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考

世に一般的なIndustar-50は薄いパンケーキ型ですが、こちらはL39用にリア側にヘリコイドがついているみたいです。
上部はネット見かけるパンケーキ型と同じかと。

KMZ Industar-50 50mm F3.5 100cm 1966年 L39
ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
購入はeBayのkmz_photo_deals という99.7% Positive feedbackの業者から1,819円で購入。
送料込み、為替手数料も含めてこの値段なので、自分が買ったオールドレンズの中でも最安値かもしれません。

写真は見やすい写真が7枚で、絞った写真もありわかりやすかったです。
商品説明は、

Body:この商品はgood conditionです

Oprtics:レンズのガラスはcleanで、カビはありません。
いくつかのわずかなクリーニング傷はリアレンズだけに少しあります。この傷は写真には影響しないでしょう。

Function:絞りバネにオイルは付いてません。絞りバネの動きはすべての絞り位置でスムーズに動きます。ピントは滑らかで正確です。

一通り網羅して書かれていて問題ないかなと。
というより約2,000円なんで「ハズレでもいっか」的な気持ちはだいぶありました。

届いたものは「まあこんなもんでしょう」と言ったところ。2,000円なら安いんじゃないかと。
気のせいか超安価なレンズは、カメラにハマらないとかのレンズ筐体の構造上の問題や、経年の汚れ以外の問題は見かけない気もします。

超安価レンズは作りもシンプルなので、レンズ清掃の練習のつもりで開けてみるのも面白いかとも思います。
実際自分もそれでレンズ清掃を覚えた気がします。

販売サイトの状況

eBay市場素晴らしく2〜3,000円あたりの感じで、数も多いので余り入札も入らず開始の値段が買えることも多いかと。
状態のいいもの、出来ればキャップ付きを探して1,000円ぐらいの差なら高いものを買ったほうがいいのではと思います。

上手く撮れたと思う写真の振り返り、分析

Industar-50 50mmシルバー鏡筒の乾いた写りは、ひと味違うロシアンレンズの趣
この一枚ダメですかね?
けっこう好きなんですが、インスタではあまり伸びなかったんです。
この色の転び方って案外Photoshopとかフィルターでもたどり着かない良さがある気が。

言ってしまえば、ダメな色転びなのかもしれませんが、Industar自体がフィルター付きのおもちゃ箱みたいなレンズでたまに当たりが出でくるみたいな面白いかと。

ちょっと逸れて兄弟レンズIndustar-69 28mmを

こちら載せるほどのレンズではなかったので、ほとんど撮らないで手放してしまったんですが、折角なので同じ系統のIndustarとしてご紹介

KMZ Industar-69 28mm F2.8 2,941円の写真たち
ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
四隅の黒がガッチリ蹴られてしまっています。
そのうえ無限遠が合わないので試し撮りで終えてしまいましたが、久々に写真だけ見るとこれはこれで記念にはなっていてもう少し撮っておけばよかったと思わなくも。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
Industar-50と同じ安いレンズで本気で調整すると削ったりして大変みたいですが、最近なら3Dプリンタ調整するとかもありなんですかね?
あいや、削らないといけないからダメか。

ロシアンレンズのIndustar-50 50mmシルバー鏡筒
コントラストこそ強いですが、やはりIndustar-50と似ているような気もして全くダメダメな写りではないと思います。
撮像素子がフルサイズでの蹴られなので、APS-Cサイズなら四辺の黒はなくなるようです(画角28mmが42mmぐらいになるかと)

撮影情報

カメラはSONY α7R、画質はraw非圧縮、現像ソフトはPhotoshopCS6で写真によっては多少「露光量」「白レベル」を調整してますが、そのままの撮って出しも多いです。

BL6A1471
絞りは開放から2、3段上のF2.0〜F6、シャッター速度は手ぶれを考慮して1/100を軸に、明るすぎる時は1/400ぐらい、風に揺れる花など動きの速いものは1/800ぐらいで明るさはISOで補充、ISOは基本50にしておき適宜シャッター速度と絞りで明るさ調整してます。
ホワイトバランスは外の場合大体オートです。特に雲がまばらで日が出たり入ったりの時は撮るたびに調整してると大変な手間なのでオートで標準です。また仕事等で室内スタジオの時は、きっちり数値で合わせます。

補足

っていうか写ルンですってまだあったんですね。

iPhoneがあっても生き続けるとは、やはりフィルムの良さということでしょうか。

Industarはもうひと記事あります。
この記事と違う黒鏡筒で撮った「三千円で買えるロシアンレンズの鋭くも柔らかいパンケーキ黒鏡筒の描写力
撮影最短距離が短い分少し自由がききます。
ご一緒にぜひどうぞ。

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