2017 / 03 / 12

Digital Camera

Industar 50-2 50mm 手頃に買えるパンケーキ型ロシアンレンズの鋭くも柔らかい黒鏡筒の描写力

オールドレンズの中でもかなり安い部類に入ると思われるこのIndustarのパンケーキレンズ 50-2。かなり写ります!
知名度の少ないレンズを何となく買うぐらいならこの手頃なIndustar 50-2を試してみてください。

レンズとメーカー紹介

ポートフォリオレンズとして有名なJupiter-9を設計したメルシブ博士マルツェフ(Мальцев)博士が作ったというIndustar 50-2。
Carl Zeiss のTessarをモデルにしたレンズで、安くて良く写るレンズとして有名です。

KMZ Industar 50-2 50mm/F3.5 M42

実は以前、銀の鏡筒のIndustar 50-2 Leica Lマウントを持っていたのですが、5DではマウントがM42しか対応しないので、SONY α7Ⅱを手放す時に一緒に売却してしまいました。

乾いた感じが面白いレンズだなあと心残りなところがあり、もう一度試したくて、M42マウントのものを今回再購入です。

似たような仕様の面白いレンズとして、Smena8カメラのレンズT-43がありますが、これは汎用性の高いM42マウントが発売されていないのと、ちょっとクセがあるので、スタンダードな描写で撮れるこのIndustar50-2のほうが広くオススメできるのではと。

本日のアジェンダ

・思い出の中のLマウントIndustar50-2の乾いた写りをもう一度。
・シャッター速度を上げて開放、シャッター速度を下げて絞る。の描写の違いを探る

ボケ味


絞り開放F3.5でも、手前と奥の距離がこのぐらいあれば十分ボケます。
素直なボケで特に特徴はありませんが、逆に言えばクセもない感じで、撮影最短距離65cmなら人物撮影にも使えそうです。


周辺光量が結構落ちているのは、絞り開放の影響です。


今回、絞りとシャッター速度の組み合わせで描写がどのくらい変わるか試したかったので、動かしづらいIndustarの前面にある絞り調整しつつ同じフレームを何枚か撮ってます。
比較の文章については後半で。

ボケの話に戻します。


F3.5のイメージからは少しボケる感じでしょうか。


流れる感じも、ざわつく感じもなく、なんとも行儀のいい感じのボケではと。

線の描写、色味


モデルになっているCarl Zeiss jenaのTessarと同じように鋭い線の評判が高いようですか、この筐体はそれ程シャープなイメージはないかもです。


どちらかというと優しく細い線で、Jupiter-9に似てるような気がすると思ったら、そもそもJupiterシリーズを設計したメルシブ博士マルツェフ(Мальцев)博士の設計でしたね。

冒頭に書いていて忘れてました。
コントラストも似てると思います。


とはいいながらも、色の表現が少し違う気もしますし、光の集まり方が何となく違う気もします。
まあ50mmと85mmで違うのは当たり前ですか。


細い線が、自転車の無機質さを上手く出してくれてるような一枚かと。


あ!この瞬間!
といった感じで、急いで撮ったのでピンが甘いのですが、傘とアスファルトのコントラストが好きなショットです。

開放シャッター速度上げと、F8.0絞りシャッター速度下げ

今回F3.5開放シャッター速度1/200と、F8.0シャッター速度1/50で描写がどのくらい変わるか実験をしてみたく二枚並べながら書いてみることにしました。

ISO的には一段か二段違いでだいたい同じくらいで撮影できるので、レンズ側の設定で描写を選ぶ意味できちんと違いを把握してみたいと思います。

絞りF3.5、 シャッター速度1/200

この距離感だと絞りでの線の出方に違いを感じます。
ピントが合う範囲が広くなっていってるので、その分コントラスの境目がついて全体的に細かい描写が見えるのでは。
書きながら今更ながらそういうことだったのか気づきました。

絞りF8.0、シャッター速度1/50

絞りF3.5、 シャッター速度1/200

道路を挟んだ反対側から撮ったショット。
この雰囲気だと、開放F3.5絞りのほうがいいでしょうか。
周辺光量落ちと、若干ハレーション気味な描写が雰囲気に合っている気がします。

絞りF8.0、シャッター速度1/50

色味、フレア、ゴースト


簡素なレンズのためコーティングがないんでしょうか?
ちょっとでも光源にレンズが向くと、すぐハレーションが出始めます。


この不安定さをオールドレンズの味として捉えられれば、これほどレンズによって違いがあるオールドはとても楽しいのではと。
それだけ表現の幅が広いと考えます。

購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考

KMZ Industar 50-2 50mm/F3.5 M42 黒鏡筒

最短撮影距離 65cm、1984年製造(キャップはなしでした)

販売はpolarislinknetua という ウクライナの100% Positive feedback 業者。
写真は5枚ですが、hidekatsu.comが重要視する「絞りきった写真」と「レンズの曇り具合」があるのでいい内容です。

商品説明は「真新しい状態! 完全に働く! レンズはほこりがなく、カビもなく、申し分のない状態でキズのない! ピントリングと絞りはスムーズで容易に動きます!」

とほぼコピペと思われるざっくりな説明のみ。

eBayではMint(真新しい状態!)やExcellentは日本人の感覚とは全く合わないのは有名な話ですが、目立つ傷や障害は100% Positive feedbackに近い業者なら大体書いてくれていますので、この品は購入基準をクリアと判断。購入しました。

eBayだと送料込みでも結構安く買えそうです。キャップがついてるもののほうがいいかも。

上手く撮れたと思う写真の振り返り、分析

扉のこちらはお気に入りです。


小さい色の分散と、そこかしこにあるフレーム内を区切る線の直線的だけど有機的な感じがたまりません。
左からの光源もいい具合にハレーション気味では。

シンプルに見えながらもいろいろ詰まっているいいショットではと。

向いている撮影の方向性、ポートレートレンズとして

小さくて持ち歩きやすいですし、風景も撮れて、ボケも使えて人も撮れる、そして安い!
標準画角レンズとしてお手本のようなレンズではないかと。

とはいえポートレートがメインの日には、適したレンズはもっとあるので。なかなか選びづらいかも。
万能な分、目的が明確な場合は選びづらいレンズなのかもです。

携帯性も考慮して旅にオススメのレンズかもしれません。

歩いた辺り


ここ半年コピーバンドの練習で下北沢の行くことが多かったため、この歳になってやっと下北沢の地形がわかりました。

下北沢って、道幅や店の雰囲気が似ていて、今何処を歩いているかわかりづらいのではと。


なので今回は少し慣れた下北沢をあてもなくフラフラと。

途中で雨が降って来ましたが、撮り歩いている時だと気にならないから不思議です。
これが出発前に雨だと、まず中止にしますが。

撮影情報

カメラは5DmarkⅢ、画質はraw非圧縮撮影です。

撮影時のピクチャースタイルはスタンダードで、それは5Dのモニター確認用のみです。
PCに取り込んだ時にjpgは捨ててしまいます。

BL6A1471
現像は現在PhotoshopCC2017で、レンズの特性を写真に残したいので、露光量で明るさを揃える程度の調整のみに留めています。
なのですが、今回、ホワイトバランスをオートで撮ってしまったので、撮り比べの写真はraw補正でホワイトバランスの数値を揃えました。

絞りは、今回開放F3.5とF8を切り替えつつ、
シャッター速度を、それぞれ1/200、1/50で撮影しています。

ISOで上記設定後に明るさ調整をしますが、カメラの露出計はオールドレンズのためか、ざっくりとしか合わないので、撮りながら合わせる感じです。

ホワイトバランスは、今回オートで撮っていましたが、いくつか二枚撮り比べをしたので固定にするべきでした。

マウント

Canon 5DmarkⅢ(Canon EFマウント)、SONY α7(NEXかSONY Eマウント)では問題なく使えました。この辺です。

 


 

  

マウントはカメラによって干渉等でうまく使えないこともありますので、使用の保証はできませんのでご留意ください。

 

補足

町歩きの投稿としては、去年の夏以来で約半年ぶりです。

メインワークの変化もあり公私共に余り撮れてませんでしたが、カメラから少し離れたことで写真を客観的考えることができた気がしました。

何というかいい意味で以前より雑念なくファインダーを覗けているような気がします。

色々落ち着いて来ましたし、暖かくなって歩きやすくなって来ましたので、またぼちぼち撮って行きたいです。

また、Industar-50は以前に書いた記事もこちらにあります。
シルバー鏡筒の乾いた写りは、ひと味違うロシアンレンズの趣

自身でリペアしたレンズをヤフオク!に出品しています

Digital Camera

 

“Industar 50-2 50mm 手頃に買えるパンケーキ型ロシアンレンズの鋭くも柔らかい黒鏡筒の描写力” のコメント

  1. ミヤモト より:

    Индустар-50の検索していたらこちらのページにたどり着きました。
    設計者のメルシブ博士とはМальцевのことだと思いますが、
    カタカナだとマルツェフが一番近いかもしれません。

    • Hidekatsu より:

      そうでしたかコメントありがとうございます。
      仕様や歴史等は簡単にしか調べていなかったものですいません。
      早速訂正させていただきます。


 

 

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