2017 / 07 / 18

Digital Camera

Jupiter-8 50mm ソフトな描写と芯のあるピント面 小ぶりな Leica L39マウントのオールドレンズ in 荻窪駅の南側

ヤフオクを見ていたら知名度があるのに試してないレンズをいくつか見つけました。その内のひとつ、シリーズが多いJupiterの標準画角Jupiter 8を今回持ち出しました。

レンズとメーカー紹介

Jupiter-8 50mm F2.0 Leica Lマウント

いくつものロシアンレンズと同じように、戦後の賠償請求の一環でZeissのレンズを元に作られた本レンズ。
Zeissの銘玉Sonnarが元になっているようでレンズ構成を見ると瓜二つです。
この辺の所説等については、他に詳しく書いているサイトも多いので本ブログでは軽めに。


コンパクトな外観だけ見ると廉価版的なイメージを持ちますが、中身は小さな部品でキチンと作られており、HeliosやMir-1に比べてもむしろもっと緻密に作られている印象です。

本日のアジェンダ

・Helios以外の標準画角のロシアンレンズの描写を探る
・荻窪の二日目、南側を歩く

ボケ味、フレーム周辺の描写、色味


おー柔らかい。


1962年製と年代物の割にスッキリ写って、ボケの鮮度がいい感じです。


何でしょう、やはりヘリオスとはちょっと違う感じで、どちらも柔らかくボケますが、こちらのJupiter-8は芯が残る感じといったところでしょうか。


ぐるぐるボケにならない分、安定してスッキリした奥行きになるからでしょうか、とてもスッキリしているフレームになる気が。


開放でのピント面の雰囲気は他のロシアンレンズっぽい印象がありますが、そこから画像周辺に向かってはニュアンスがだいぶ違うのではと。


安定したまま、画像周辺部に向かうボケはどことなくFlektogonっぽいような気も。もちろん画角は違うので光学的な話や絵作りがそもそも違うでしょうが、 他のロシアンレンズHeliosやMir-1に比べ、Carl Zeissの影響が色濃く残っているような気がします。

このボケの項のここからは別のJupiter-8です


俄然売る気で買った、別のJupiter-8でも後日近所で撮りました。


なんというか結局オールドレンズって、コーティングが弱かったり、鏡筒内の反射が強かったりで、天気によってだいぶ表情が変わると思います。


ピント面の線具合は同じような雰囲気かと思いますが、ボケが白んでホワッとなる感じとか全然変わるかと。古いレンズほど顕著に出るのでは。


とはいえそれがオールドレンズの良さかとも。
ワガママ過ぎるぐらい光に左右される分、表現の幅があって面白いのかと。

ピント面の解像度、絞った際のシャープさ、収差


1963年製と年代物の割にシャープで繊細なピント面です。
レンズ自体はスクラッチ傷(スレ傷や拭き傷)が結構あるのでいい状態とは言いかねますが、そもそも実力があるレンズということでしょうか。


柔らかいニュアンスで比較的写実的に映ります。立ち位置の近いヘリオスとの比較が多くなってしまいますが、ヘリオスだともっとシャープにでるのではないかと。


それでも、けっこう距離のあるこのTシャツは質感が案外出ています。なんというか絞っても開いても優しく撮れるようなイメージです。


さすがに機械ものは多少シャープでしょうか。
最近、バイクを被写体にするのを覚えまして、このぐらいのサイズのブツ撮りって、レンズの画角にかなり左右されて構図にけっこう差が出るので面白いです。


日暮れ時だったので、至るところ柔らかめの日差しが入って撮りやすい日でした。


このフレームはもう少し色をのせたかったですが、ちょっとこのレンズでは無理かと。コーラのところまで日差しが入っていればやりようがあったかもしれませんが、そればかりはどうしようもないです。
Raw現像で彩度を上げることは、このブログではしない方向です。


終始柔らかい線ながらも、しぶとく残る線でもある感じで、その辺はSonnarの血筋ということでしょうか。
ダブルガウス型と言われるレンズ構成は、ハレーションにも強い話を何度か目にしましたが、確かにレンズ全体にうまくハレーションが拡散されるようなニュアンスは感じました。


がっちり逆光を狙ってみました。
白んではいますが情景はかなりわかる上、ソフトなニュアンスかと。
とても撮れるレンズです。


けっこう高評価で書きましたが一点書き留めておきたい点として、最短撮影距離が100cmですので食べ物などの近撮は厳しいので注意が必要です。

購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考

Jupiter-8 50mm F2.0 Leica Lマウント

実はJupiter-8、一年ぐらい前に購入したことがあるのですが、その時の筐体はピントヘリコイドを回すとなぜかバラバラと分解する筐体でそのままジャンクとして売却してしまいました。


その後、Jupiter-8 50mmはHelios 44-2の58mmに画角が近いので、近い画角のロシアンレンズを試すより他を試そうと、それっきり遠ざかっていました。
そんなこともあり一周回って帰ってきたような感覚がこのレンズにはあります。

購入に際して

eBayのJupiter-8市場をみると比較的手頃に幾つも出ていますが、年代物が多いのでレンズ状態はもちろん外観もよく見たほうがいいと思います。
特にシルバーのアルミ鏡筒は、研磨で輝いても案外汚れは取れないですので、インテリアとしても並べたい方はご注意を。

マウントについて

Leica Lマウントは5DなどのCanon EFでは対応しないので、今回はSONY α7(SONY Eマウント、NEXとも言う)を使いました。
SONY E(NEX)、FUJIFILM FX、Olumpus等のM4/3、の順

 

ミラーレス一眼なら各社ともLeica Lマウントのレンズは問題なく使えるようですが、この時代のレンズは、レンズ側に突起物が付いている筐体があるので、この位置には注意したほうがいいです。
突起物がぶつかって、現在のカメラには装着できないことがあります(今まで2個ぐらい経験者)。

その他、マウントはカメラによって干渉等でうまく使えないこともありますので、ご自身のカメラでの使用の参考としてください。
また初心者向きの内容で、マウントについての記事を書きました。マウントに疑問点がある方はぜひ。

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向いている撮影の方向性、ポートレートレンズとして

寄れるわけではないですが、ポートレートにもいい味が出そうです。胸上、膝上ぐらいがちょうどいいのではと思います。
まだこのレンズで人は撮っていないですが、Jupiter-9とは案外違う描写になるのではと思います。
ボケがもう少し写実的ですし、なんというか良くも悪くも平面的に写るような感覚があります。

歩いた辺り


やってきました2回目の荻窪。今度は南口です。
めちゃくちゃ暑い日でした。


こちらの方が商店街っぽくて歩きやすい感覚はありますね。


チェーン店も多いですが、昔ながらの店や建物もあって写真は撮りやすい街並みではと。


この日は暑すぎて速攻休憩しながら歩きましたが、なんとなくちょっと休憩がしやすい街並みでもある気もしました。
道幅に余裕があるのかな?店の数の割に詰まった感じがしない通りだったかと。


本文中にも書きましたが、フード撮りにはあまり向かないです。
近撮以外はある程度オールマイティに撮れる気がしますが、近いものはトリミング前提ならと言ったところかも。


写真を見ているだけで暑さを思い出します。
駅の北側ほどではないと思いますが、南側も十分広く歩きがいのある街です。
夏の街撮りは着替え必須かと。


登っている風です。


この川の涼しげな草と鴨がいい味でした。こういう川が見える部屋とかに一回住んで見たかった気も。


川の歩道に桜が突き出している箇所があったんですが、消失点が見えない直線と合わせてなんかジブリっぽい感じです。


街中にはまだ昔からの店がちょこちょこあって、北側に比べのどかです。住むならこっち側が好きかもです。


それにしても暑い日でした。

撮影カメラ情報

SONY α7

Raw現像

現像はAdobe BridgeCC2017で、レンズの特性を写真に残したいのでコントラストや彩度等、一切いじらず、ノー調整、ノーフィルターです。
たまに露光量で明るさを揃える程度に留めています。

カメラの設定

絞りは開放F2.8〜F8.0ぐらい、シャッター速度は1/1000を基準に絞った時は1/400のぐらい、最近ISOはそのフレームに応じて飛ばし気味にしたりほうが合うか、暗めにコントラストつけたほうが考えながら撮ってます。
ホワイトバランスは、最近ずっと「晴れ」です。

補足

Leica Lマウントのレンズだと、レンズも小さいしマウントも小さいのでバッグに常時入れておくとかにいいかもです。

Digital Camera

 


 

 

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