2017 / 07 / 30

Digital Camera

vol.4 1/2-White 単焦点オールドレンズで味のあるポートレート撮影を! 中望遠 Sonnar、Biometar、Telefogar、Jupiter 8

ポートレートの作品撮りをする機会があり、折角ですので文字通り売るほどあるオールドレンズを色々試してみました。2投稿に分け、主に中望遠レンズでの白っぽい素の描写と、主に広角気味で黒っぽく画像調整も行った投稿と分けました。

オールドレンズの柔らかい描写でポートレートを

タイトルを少しずつ変更しながらもvol4まで企画が進み、今回は今までにも増して色んなレンズを試せましたので、色々な角度の見方でオールドレンズを考察できるのではと思います。

今回は室内のほか、外での撮影もしており、前回に比べると写真のバリエーションが豊かです。
またvol.4-2の投稿では久々にRaw画像調整もしていますので、そういったレンズ以外の写真を取り巻くことにも触れていきたいと思います。

レンズ紹介

Samyang 85mm F1.4

前回のポートレート撮影から登場のSamyang 85mm。
マニュアルピント、マニュアル絞りと、まるでオールドレンズのような仕様で、その分手頃な価格ではありますが、写りはしっかりしており使い勝手がよく今回も登場です。
スタンダードな引きのフレームで働いてくれました。
↓ Samyang 85mmの写真へ

Carl Zeiss Jena Biometar 80mm F2.8

少し前に手に入れたものの、街撮りには持ち出しづらい画角でほとんど使ったことがありませんでしたが、やっと今回少しだけ試せました。
↓ Biometar 80mmの写真へ

Carl Zeiss Jena Sonnar 135mm F3.5

もはや手放すことはないと思われるCarl zeissの銘玉のひとつなんですが、こちらはもっと街撮りがしづらい画角のためこのブログでは影が薄い気も。
ポートレートでは今回も働いてくれています。
↓ Sonnar 135mmの写真へ

Jupiter-8 Black 50mm F2.0

中望遠Jupiter-9 85mmの影に隠れてもうひとつ知名度が薄い気がしますが、この標準画角Jupiter-8 50mmもかなり写ります。
最短撮影距離100mmと少し距離のある標準画角の50mmですが、街撮りだけでなく、ポートレートでもいい描写をしてくれました。
↓ Jupiter 8の写真へ

Meyer-Optik Görlitz Telefogar 90mm F3.5

こちらもやはり試しづらい中望遠のため買ったきりなっていましたが、今回なんとか少しだけ試しました。ここのところMeyerのレンズにいくつか触れていますが、どれも侮れない写りをすると思います。
↓ Telefogar 90mmの写真へ

Samyang AS UMS 85mm F1.4


正直なところ、オールドレンズの撮影が上手くいかなかった場合の、保険的な意味合いでの使用が強いレンズで、逆を言えばそれだけ安定した描写の安心できるレンズと言えると思います。


ピント面がカリカリになることもなく適度にシャープ、十分にぼかすこともでき、うるさくないコントラストで非常に安定した描写ではと。


今回は引き目での述べ全身描写ですが、もっと寄って肩上ぐらいのフレームも容易です。


あとで写真の整理がしやすいよう、たまにこんな感じでPCやスマホで文字を打って名前を撮ってます。
名前打ち間違い、ピンボケですが描写の参考としてということで。。

Raw現像

Adobe Bridge CC 2017でのRaw現像時に、白レベルを+20して少し日差しの強い感じをあげています。
それ以外はRawのままなのでかなり素に近い状態です。

Carl Zeiss Jena Biometar 80mm F2.8


いきなり撮り損じなのですが、これでいいんじゃないかとも思えるソフトフォーカス気味のピンボケ。
味としてはありではないかと。


Samyangと比べてもらうとよくわかりますが、ピント面が少し甘いのと、暗部(主に髪の毛)が淡く出ています。
特に暗部はハレーション云々より、そもそもオールドレンズの表現だとこの辺が普通の暗部の表現なのではと。


この淡さで問題ないんじゃと判断しRawでもいじりませんでしたので、デフォルトのレンズ表現です。


およそ1968年製のレンズとすれば比較的シャープに写っている印象でもあります。
今回は少ししか試せませんでしたが、いい雰囲気が出ることはわかったのでまた別の機会に使ってみたいレンズです。

Raw現像

露出で少し掲載全体の明るさを揃えることはしていますが、他の調整はまったくなしです。
それはいいレンズであると言い換えることができるのではないかと。

Carl Zeiss Jena Sonnar 135mm F3.5


安定のSonnar。信頼のZeiss中望遠。
ピント面のソフトでいて程よくシャープなキレは、ほんとポートレートに最適です。


またBiometarに比べると若干コントラストがのっているでしょうか。
こちらも露出以外の調整はしていません。これで十分かと。


Sonnarの持つダブルガウスのレンズ構成は、ひずみも少なくハレーションも起きにくいようで、その分ピント面やコントラストの安定感にでるのかもしれません。


このレンズも肩上ぐらいまで全然寄れますので、全身撮影から表情のアップまで表現が多彩なレンズかと。

Raw現像

こちらも調整まったくなしです。
多少暗部を足してもいいでしょうが、今回の撮影イメージなら淡いままがいいかなと思いました。

Jupiter-8 Black 50mm F2.0


扉に掲載した写真を撮影したのは、小さいけど精密な作りのロシアンレンズJupiter 8。
なんとなくうまく撮れるんじゃないかとの予想があったんですが、その予想以上のポートレート描写を見せてくれました。


今回は少しだけLED照明を焚いていますが、ほぼ自然光での撮影で、その自然光の陰影を見事に表現してくれています。


また、ソフトな描写ながらもピント面は繊細に写り、肌の描写も自然で柔らかく無理のない味わいです。


撮影最短距離が100cmですので、この写真ぐらいでギリギリの寄りですが、逆に寄れないことでフレームの余白に気を使うことが結果的にいい光の状態を生み出せているのではと思います。


小さなレンズとLeica L39マウントの小さなマウントで、かさばらず、軽量で持ち歩きもしやすく、軽いスタンスでどんどんシャッターを切っていけます。

Raw現像

こちらもSamyangのように、白レベルを+10だけ上げています。
気持ちだけ光をまぶしたようなニュアンスかと。

Meyer-Optik Görlitz Telefogar 90mm F3.5


夕暮れ迫る移動の合間にひと案思いついて、横断歩道での撮影に使ったのはMeyer-OptikのTelefogar 90mm。


かなり情報の少ないレンズですが、一時期ポートレート用の中望遠を漁っていた時に見つけたレンズで、M42マウントは珍しいこともあったので勢いで買ってしまいました。
そして初撮りです。


日はもうほぼ落ちて難しい条件下でしたが、強めのコントラストでボケは固め、Meyerらしいなかなか味のある雰囲気を出してくれてます。


少ししか撮っていないのでまだよくわからないですが、1958年製でこれだけ写るとは、Meyerはホント侮れないです、最近とみに思います。

Raw現像

こちらはシャドウを-10かけて少し締めて、その分露出を上げて全体を明るくしています。さらに顔はピンポイントで明るくしました。
なにぶん光量が足りない上に光源も後ろですので、多少の調整は必須の状況かなと思います。

それでもレンズの味のある雰囲気は見て取れるのではないでしょうか。
もうひとつ知名度の低いMeyer-opitikのレンズ、もっとフィーチャーしてみたいですね。

購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考

Samyang AS UMS 85mm F1.4

Canon EFマウント、最短撮影距離 110cm、2010年の製造、絞り羽根8枚、7群9枚レンズ構成、フィルター径72mm。

マニュアルフォーカス、マニュアル絞りで撮影に問題がなければ、今現代レンズでお勧めできるのはSamyangしかないのでは思えるコスパです。


85mmはなんと約34,000円!オールドでもこの辺の画角はこの値段より高いものがザラです。一家に一本オススメです。

Samyang 85mmのポートレート記事がこちらにもあります。
素晴らしいコスパと噂のポートレートレンズSamyang 85mm F1.4。レンズ沼の住人としては現代レンズも気になります

Carl Zeiss Jena Biometar 80mm F2.8


M42マウント、最短撮影距離 100cm、およそ1965年製造、絞り羽根8枚、4群5枚レンズ構成。
eBayでの価格帯:¥30,000〜¥40,000

たぶん何か別のマウントを、焦点距離が合う既存マウントをつけてM42マウントにしていると思われる本レンズ。特に使用に問題はないです。
純正のBiometarより結構お安く買えたので、今回の写りが出たならありがたい限りで、もう少し被写体までの距離も変えて撮ってみたい筐体です。

Biometarはまだ街撮りの記事はありません。中望遠はどうも持ち出しづらいです。

Carl Zeiss Jena Sonnar 135mm F3.5


M42マウント、最短撮影距離 100cm、およそ1968年製造、絞り羽根6枚、3群4枚レンズ構成。
eBayでの価格帯:¥10,000〜¥25,000ぐらい
SonnarをeBayで買う時は送料を気にしたほうがいいと思います。重いので送料3,000円はザラです。

こちらも一家に一台のレンズと言って過言ではないかと。
また、人物を撮る機会が多いならSonnar 135mmと、今回は使っていませんがJupiter 9 85mmは持っていると重宝するのではと思います。コスパが最高です。

Sonnar 135mmのポートレートの別記事がこちらにあります。
単焦点オールドレンズでポートレートをパート3! Sonnar 135、Biotar 58、Orestor 100、そして予想外に良く写ったTrioplan 50

Jupiter-8 Black 50mm F2.0


Leica L39マウント、最短撮影距離 100cm、およそ1962年製造、絞り羽根9枚、3群6枚レンズ構成。
eBayでの価格帯:¥5,000〜¥15,000

写真はひと世代前のSliver鏡筒

Leica Lマウントですので、こちらだけはSONYα7で撮っています。

中望遠系のレンズ+Canon 5DmarkⅢの合間に、α7+小さいレンズだと、子供と大人ぐらいの見た目の差がありますが、描写はそれぞれに良さがあるので不思議です。
レンズは大きいほうがよく写る気がするのは幻想であることがよく分かります。

最近歩いたばかりの街撮り記事があります。
ソフトな描写と芯のあるピント面 Jupiter-8 50mm F2.0 Leica L39 in 荻窪駅の南側

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Meyer-Optik Görlitz Telefogar 90mm F3.5


M42マウント、最短撮影距離150cm、およそ1958年製造、絞り羽根12枚、3群4枚レンズ構成。
eBayでの価格帯:¥15,000〜¥25,000

1960年代のレンズが並ぶだけでもかなりオールドレンズブログっぽいですが、さらに50年代後期。しかもこの重厚感の風貌です。Meyerは異質です。
最短撮影距離150cmがちょっと長めですが、中望遠ならそれほど問題ないのかと。


青いコーティングが素敵です。

本文でも触れましたが、現在M42マウントは並んでいなく全部AltixマウントですのでM42は少し希少です。
もし運良く見つけたら買っておきたいところです。

撮影情報

照明関連

十分いい自然光の日でしたが、白壁との兼ね合いも考えLED照明を2灯だけ焚いています。

被写体に向かって右上から髪に当てる感じと、左の壁に一度バウンスするような感じで顔に少しあてています。
とはいえ、動くたびに照明の向きを変えるほど細かくはあててないので、大体その感じでと言った補助光のイメージです。

 

カメラ

BL6A1471
カメラは5DmarkⅢ、画質はraw非圧縮撮影でホワイトバランスはK4900ぐらいで撮ってます。
ポートレートの場合は後から一括でホワイトバランスの調整をしたい時が多いので、ホワイトバランス値は固定して撮っておいたほうがいいと思ってます。

また今回は基本自然光だったので、1シーン撮影終了後にPCで見ながら次の準備的な流れで、細かくPCでチェックはしていません。
自然光はバランスがいいのでやりやすいです。

現像・調整

現像はAdobe BridgeCC2017で、レンズの特性を写真に残したいので基本的に露出で明るさの調整をするのみに留めています。
レンズにより若干のプラスアルファをしたい場合のみ、暗部やハイライトの付け加えをする程度です。

補足

おなじ撮影企画で、今回の投稿と違って黒っぽいイメージ、広角気味のレンズ、画像調整もそれなりに行った対局的なイメージの投稿がこちらにあります。
単焦点オールドレンズで味のあるポートレート撮影を!vol.4 -2/2_black。Helios、Flektogon 35mm、Flektogon 20mm、Curagon

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