2017 / 09 / 11
ジュピター9 / Jupiter-9 85mmは中望遠オールドレンズの良さの塊。柔らかいボケと精妙な線の表現力 in 阿佐ヶ谷
中望遠オールドレンズの中で際立つ表現力のJupiter-9。久しぶりに街撮りで試してみました。やはりいいレンズで、長閑な商店街が長く続く阿佐ヶ谷にぴったりでした。
レンズとメーカー紹介
LZOS Jupiter-9 85mm F2.0
本当は別のレンズを試すつもりで、Jupiter-9はヤフオク出品用のテスト撮影で軽く撮るつもりだったんですが、メインで予定していたレンズはなんと絞りが動かず!
せっかくいい感じの街並みだったので、テスト撮影用のJupiter-9でそのまま歩きました。
目盛りを簡単に超えてきます。
そのJupiter-9も絞りの稼動範囲の難ありで出品見合わせな感じで、踏んだり蹴ったりの状況ではあったんですが、やはりJupiter-9はよく撮れるいいレンズと再確認できて良かったかもと。
本日のアジェンダ
・ひさびさのJupiter-9のボケと絞りを再確認
・阿佐ヶ谷の商店街を歩いてみる
ボケ味、フレーム周辺の描写、色味
一見すると同じロシアンレンズのHeliosと似てますが、グルグルボケは出なく、背景全体が一枚のボケた絵のようです。
なんともいい距離感とボケです。
85mmでの街撮りは久々ですが全然いけますね。もうちょっと近距離のみしか狙えないイメージになってました。
奥行きを生かしたスタンダードな撮り方は、Jupiter-9のボケにめちゃくちゃ相性がいいのでは。
奥行きがある小道で、左右に所々設置物がある場所は中望遠と相性バッチリかと。
フレアからくる白んだ感じは、工学的にはよくないものとされてますが、効果としてぜんぜんいいんじゃないかと思います。特にロシアンレンズはさらにハイライト部の飽和感が強調される感じで、人物だけでなく物でも雰囲気まで写す感じでとてもいいんじゃかとも思います。
明るい部分が、多分ハロというやつで滲んでますが、これもまたオールドレンズの良さとして美味しんじゃないかと。強目の日差しを感じれて温度が伝わるようではと。
ボケやら、ゴーストやら、玉ボケやら全開です。
長い道を遠景に日差しの抜けが保てると、開放で暴れやすいレンズほどバリエーションが色々作れて楽しめるのでは。
右側にあるのゴーストのようなものは、自転車のスポークに映った光です。
猫の長閑な寝顔を狙うのに一番いい角度だったもので自転車の陰に潜り込みました笑
もはやピンはどこにも合ってないですが、これはこれでいいんじゃないかと。
イメージではこのぐらい強い日差しでしたので、そのままの露出で撮った感じです。
ピント面の解像度、絞った際のシャープさ、収差
金属感は十分出ていますがとても柔らかでは。
繊細な細い線の描写といったイメージのピント面が、人物の描写に相性がいいのが見て取れます。
小さな対象物は、絞っていても少し距離がつくとすぐボケるので、割ときっちりピント合わせしないとよくわからなくなるかもです。
わたがしの古めかしい感じは出ていますが、少し絞ったせいか思ったよりシャープかと。
鉄の質感と日差しの強さがよくわかって状況はわかりやすいですが、ボカして淡くしても良かったショットかもです。
人物影とのバランスは狙い通りだったんですが、ピント面である奥のポスターにもう少しシャープさが欲しいところです。
ポスターが光沢感があるタイプの紙だったらシャープに出たかも。
こういった光を反射するものならぐっとシャープさが出て、コンクリートの質感は感じますが、やはり柔らかいレンズの特性が出ているかと。
なんだか絵のようです。
きちんと距離感は出ているのに、ボケとピント面がすごくいい感じに馴染んでいて平面っぽくも見えるあたりがそうかんじさせるんでしょうか。
こちらの排水溝、シャッター速度は1/1000ぐらいの撮影なので、ほぼなんでも止まってように固く見えるはずなんですが、なんだかこちらでさえ柔らかく感じます。このレンズはやはり銘玉です。
最近、こういった遠景を撮る時、敢えて開放で撮ってます。
当然絞ったほうがきっちりは撮れますが、開放で全体のピントが甘くなったり、周辺光量落ちが出たほうがオールドレンズの良さが出せるのではと。
購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考
Jupiter-9 85mm F2.0 15枚羽根が美しい!
M42マウント 最短撮影距離85cm 1971年製 絞り15枚羽根 3群7枚レンズ構成 フィルター径49mm 重さ約360g。
購入したのは、eBayで210件 99.2% Positive feedbackのregent-2176。
商品詳細はグッドコンディション。フロントレンズに2、3の清掃傷で見える人はエキスパート。リアレンズに3つの小さな点では、写真の質には影響しません。
説明は簡素ですが、写真は13枚で中山が重要視する絞りの閉じた写真があり、一通りの写真にレンズの悪い部分も写っているので問題ないかと購入。
上記通りのものが届きました。値段も相応です。
最近のリペア販売で毎日のようにレンズを凝視しているので、かなり眼力が磨かれて写真から状態を読み取る力が相当ついてる気がします。
Industar 61でやってしまった記憶が強いせいもあるかもで、業者の評価はそれほど気にしていない分、写真から読み取れるものにかなり重きを置いている気がします。
購入に際して
eBay価格だと送料を入れると15,000〜25,000円ぐらいでしょうか。ヤフオクなら30,000円ぐらいかなと。
今まで5、6本見て来た感想だと、バルサム切れの心配はあまりないようです。
気にするところとして、なんとなくスルッといきやすい重さからくる落下などで、前面の大きいレンズに傷がついていないかでしょう。
またリア側のレンズがキャップをつけないで置くとレンズが接地面に触れる可能性がありますので、リア側のレンズは擦り傷がないか見たいところです。
またなによりロシアンレンズ共通の問題としてピントヘリコイドや絞りの重みでしょう。
リペアの経験から考えると、砂埃のようなものがレンズの隙間から入って、グリスと相まって重みになっていることが多い気がします。
なので筐体の砂埃っぽい汚れはヘリコイド等の重みに繋がることが多いような気がします。とはいえ見える部分を掃除されてたらわからんですが。。
それから絞り羽根の多少の油染みは致し方ないとしても、ちゃんと動くかの記述は確認したほうがいいと思います。
マウントについて
マウントが後ろに出てくるタイプではないので、マウントが嵌ればほぼ問題なく使えるのではと。
順にCanon EOSなどの EFマウント、SONY αシリーズなどのミラーレス用SONY E(NEXとも言う)、Olympus OM-DやPEN、Lumix系などのマイクロフォーサーズ(M4/3)です。
とはいえ今時のデジタルカメラはほぼ問題ないと思いますが、古いカメラは特に自身のカメラでの使用の参考としてください。
また初心者向きの内容で、マウントについての記事を書きました。マウントに疑問点がある方はぜひ。
自身でリペアしたレンズをヤフオク!に出品しています
バブルボケのトリオプラン 50mm M42マウントに改造【分解清掃・撮影チェック済み】Meyer Optik / Trioplan 50mm F2.9_07r
価格 : 14,800円
時間 :
2日
(03/20 20:05終了)
入札 :
0
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(03/20 20:06終了)
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リペア・調整したレンズのみ販売しております。購入をお考えの方いらっしゃいましたら、ぜひよろしくお願い致します。
向いている撮影の方向性、ポートレートレンズとして
何度かポートレートで使用しており、どの撮影もいい働きをしてくれたレンズです。
「Jupiter-9 85mmの人物描写力 扱いやすいボケと自然なハレーションが作るフィルム感」
歩いた辺り
阿佐ヶ谷に行く予定が出来たので中野から総武線を戻ることに。
企画が駅から駅へと言うより、その駅周辺に変わってきていたので地図もその雰囲気に少しマイナーチェンジしました。
『阿佐ヶ谷』街撮りオススメ度★★★★★=5
昔よく遊んだ友達が住んでいて、行ったことは多かった街なんですが、きちんと歩いたことはなく今回歩いてみて始めて街の良さがわかりました。
長い通りの商店街を中心とした街並みは住みやすそうでとてもいい街ではと。
古くからあるような建物も多く、味があるオブジェとかけっこうあって興味深いです。
たい焼きなんですが少しわかりづらいでしょうか。
もうちょっと絞ってもよかったかもです。ファインダーで見ているよりボケが深く出るかと。
途中立ち寄った鯛焼き屋は、なんと!ひとつずつ金型みたいので直火で「焼いた!と」いう感触が凄く香ばしいです。
こちらと比べると一般的な鯛焼きは暖めたという感じに思えます。
普通のは150円。白玉入りというのは300円と少し割高なうえ時間もかかりますが、話のタネにもぜひお試しいただきたい逸品かと。
更に阿佐ヶ谷駅から横へ伸びる呑み屋街的な通りも散策。
通りも天気もこの猫のように平和な感じでした。
そして何やら不思議な場所を発見。
高架下を改良して、アニメのショップ関連を集めているようです。
この高架下は駅からずっと続いていて手前はオシャレ飲食店が連なる通りで新しい阿佐ヶ谷の顔になっているようです。
撮影カメラ情報
SONY α7
Raw現像
現像はAdobe BridgeCC2017で、レンズの特性を写真に残したいのでコントラストや彩度等、一切いじらず、ノー調整、ノーフィルターです。
たまに露光量で明るさを揃える程度に留めています。
カメラの設定
絞りは開放が多かったですが、少しグッとしたい感じの時は絞りました。コントラストをあげたいに近い表現のつもりです。
天気が良かったのでほとんどシャッター速度は1/1000ぐらいで、ISOはそのフレームに応じて明るさを合わせる感じで使います。
ホワイトバランスは、ほぼ「晴れ」でした。
“ジュピター9 / Jupiter-9 85mmは中望遠オールドレンズの良さの塊。柔らかいボケと精妙な線の表現力 in 阿佐ヶ谷” のコメント
似た内容の投稿
こんにちわ。やはりJupiter-9いいですね。
サラリーマン?が映った、どこにもピントの合ってない写真、好きです。
ボヤっとしてて、思い出を撮ったようで。
現代のレンズではなかなか同じようには撮れない…。
コンテストなどでは良くないとされる写真かもしれないですが、好きですねー。
こんにちは、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
はい、やはりこのレンズは一家に一台のいいレンズと思います。
>ボヤっとしてて、思い出を撮ったようで。
ありがとうございます!
まさにそのイメージで、カメラを向けたら露出過多でしたがノスタルジーを感じてそのまま撮りました。
確かに技術的にはいいところないでしょうが、私もこれでいいと思ってますー。
ちなみにこのJupiter-9は以前掲載のレンズではなく、最近のリペア販売用に買い足したレンズで、清掃もしてありレンズの状態はいい筐体です。
少しシャープに出ているのではと思います。
こんにちわ。
スポークごしの猫、たい焼き、いいですね。
空気感も一緒に画に収めているかのよう・・・素敵です。
JUPITER-9、F2の割りにボケますよね。
私は動画メインなのですが初めて現場に持って行った時、
ピントの山がつかめなくて、かなり焦りました。
F2だと思って甘くみておりました(笑)
開放だと滲むというのもあるのでしょうか、しかし、うまくかみ合えば
確かにポートレートではいい仕事してくれるレンズだなと思います。
ロシアンホワイト、わかるような気がします。
旨い事表現されるなと感心しました。
時々拝見させていただいておりますが、毎回素敵な画が多く、楽しませていただいております。
こんにちは。
ありがとうございます!
空気感、かなり意識していますので嬉しい限りです。
確かにボケ過ぎてしまうのは難しいところですよね。
特にポートレートだと気をつけないと左右の目がボケでアンバランスになるので、にじむ感じも踏まえていい頃合いを掴むのは、このレンズの面白くも難しいところな気がします。
ロシアンホワイトありがとうございます!そういえば最近あまり使ってませんでした。
自然に自分の中から出てきた言葉で気に入ってもいるので、評価をいただけたなら是非もっと使わないとー
リペアの体制も落ち着いてきたので記事にもさらに注力したいと思ってます。
今後ともご来訪よろしくお願いいたします。