2017 / 05 / 17

Digital Camera

バブルボケだけじゃない!トリオプランの良さは暗部にあった。Trioplan 50mm と千歳烏山を街歩き

少し前にポートレートで素晴らしい描写を見せてくれた事で、一気にお気に入りのレンズになったTrioplan50mm。今回は街撮りに持ち出してみました

レンズとメーカー紹介

M42 Meyer-Optik Görlitz Trioplan 50mm F2.9

100mmがバブルボケの出るレンズとしてとても有名で高価なのですが、50mmは比較的現実的な値段で手に入ります。
とはいえ少し100mmの影響でプレミア価格が入っている感覚は拭えないところ。

製造はMeyer-Optik Görlitz。
一度は会社が吸収されてしまったんですが、その後、独立。
しかし結局90年代初頭に倒産してしまったようです。

そして近年、人気のあったレンズや新しいレンズを揃えて復活した不思議なメーカーです。
マニュアルレンズとしてはとても高価ですが、出来れば一度は試してみたいラインナップです。

本日のアジェンダ

・ポートレートで見せた描写は街撮りに生かせるか。
・加速中の街歩き。今度は京王線の読みづらい駅、千歳烏山を歩きます。

ボケ味、フレーム周辺の描写、色味

実は以前もTrioplan 50mmを所有していたのですが、EXATAマウントだったためα7Ⅱを手放す時に一緒に売却しており、改めてM42仕様を購入しています。


その時の経験をもとに、ボケの効かせたいフレームは、近距離被写体からの絞り開放気味で撮っています。


前後のボケが、溶け過ぎず、歪まずで、いい感じの存在感を見せてくれるレンズではと思います。


色は若干淡くなるでしょうか。
撮っている時は気がつきませんでしたが前回その印象はなかったので、この年代のシルバー鏡筒に多いハレーションのせいかとも思います。


撮影最短距離は60cmなので、ほとんどの標準画角オールドレンズと同じように、手で持ってる物を写すのには少し遠いです。
少し前に投稿したOreston 50mmの撮影最短距離33cmはやはり凄いです。


ピント面まで少し距離がありますが、かろうじて奥はボケてます。
奥の木の葉の周辺に青の色収差が出ていますが、現代レンズでもこの状況では同じかと。


バブルボケに挑戦しました。
草木や木漏れ日など、寄りで光りの抜ける穴があるようなフレームにすると50mmのこのTrioplanでもバブルボケが少し出ます。


豪快にバブルボケとはいきませんでしたが、まあこんなもんでしょう。
いつか100mmの本家を試してみたいもんです。


もう少し後ろの枝に隙間が多ければバブルボケにベストなフレームだったと思いますが残念。
奥のボケまで距離があると少しグルグルボケが出るようです。
もともとバブルボケが有名なだけで、質が高いことで有名なわけではないので細かいところは気にするとキリがないかもです。


とはいえ近距離と奥のボケとのバランスはやはりいい感じです。
ポートレート撮影で見せた魅力と同じものかと。


開放でピント面は甘いですが、悪くない雰囲気は出ているのでは。
使い勝手にかなりクセのあるレンズですが、用途と上手く合致すればいいボケになるレンズかと思います。

ピント面の解像度、絞った際のシャープさ、収差

この項目は大体F8.0で撮っています。


三枚玉のトリオレンズで考えると、下高井戸を歩いた時に使ったNovar-anastigmat 75mmを思い出しますが、それとは全く違う写りかと。
全体的にサラッとして誇張はないですが、バランスはとれた描写です。悪く言えば面白みはないかもしれません。


もう少し全体シャープに出て欲しい気もしますが、三枚玉の四隅までの表現バランスは生かせたでしょうか。オールドっぽい風合いはあるかと。
右下の植木はもうちょっと写ってても良かったですね。この存在を上手く使えてたら写真家としてもうひとレベル上がれるでしょうか。


悪くない暗部のディテールです。
見ようによっては浅いとも思えますが、日陰での描写としてはいいほうでは。


案外色がのりました。
ピント面の花のコントラストも好きな感じですが、奥の自転車や花がボケつつハイライトが飛んでる感じも好きです。
ボケの項でも書きましたが、近めの被写体と奥のボケのバランスがとれればいい写りを見せてくれるレンズでは。


iPhoneでHDR撮影でも撮れそうな気がしてしまいますが、それよりは天然風味といった感じでしょうか。
シャープさは多分、今iPhoneのほうが出るかと。iPhoneは何よりソフト上での調整がすごいです。

いい感じにまとまってます。
シャープでもなくコントラストが高いわけでもないですが、やはり暗部の表現が綺麗に出ているように思います。


陰影があって暗部がまとまると絵が成立しやすく、ハイライトが飛んでいても光の抜けとして収まるようなレンズなのかと。
そう考えるとポートレートで成功した時は、目や髪がはっきり出て、肌や光は少し軟調気味にでてそれが柔らかさを演出してくれたような気がします。


こちらは暗部がないですが、鳩の存在感で保たれているような。
後述しますが、この鳩は人に慣れまくってて、ここにいる間ずっとついてきました。

最後に久我山で休んだ喫茶店の窓

やはり暗部いいですね。
暗い中にも表情が見えて明部を引き立ててくれているかと。
この辺を加味した街歩きポートレートをやってみたいレンズかもです。

購入経路、リペアや汎用性、購入時の参考

Meyer-Optik Görlitz Trioplan 50mm F2.9

M42マウント、最短撮影距離60cm、およそ1950年製、12枚羽、3群3枚レンズ構成。

前述のように去年のTrioplan50mmとは別のM42マウントで、どうやらALTIXマウントを改造してあるようです。一度マウントのネジ部分がとれてよく分かりました。


結構単純に接着剤だったので、強力な接着剤でくっつけたら問題ない感じです。なんですが、取り付け位置があったみたいで目盛りが下になってしまいました。
まあ売却予定はないのでいいかなと。

購入に際して

購入は何度か他のレンズも購入している、253件の取引履歴100% Positive feedbackのlenses_vault_alphaから。
いつも写真が多めで、撮影サンプルもあり商品写真や説明の信頼度は高いsellerかと。Followersが390人チェックしている人も多く、Bidも多い気がします。

なので、質を写真と説明から見極めてBidしないと高値掴みになる可能性がありますのでご注意を。

レンズ状態については全体:ちゃんと働く、Noiceな光学、軽度の磨耗。光学系:カビなし、曇りなし、亀裂なし、バルサム切れなし、クリーニングマークなし、コーティング剥がれなし、通常のチリゴミはある(写真品質に悪影響はない程度)。フォーカシング:全範囲で動く、動きは少し緩い。絞り制御:各数値全てちゃんと動く、綺麗な絞りバネ。ボディ:軽度の磨耗、いくつかの表面的な欠陥はある(写真を参照してください)

届いたものは説明通りで問題ないかと。接点リングはすぐ外れましたが、まあ中山的には許容範囲です。
eBayの価格帯は15,000円〜25,000円ぐらいでしょうか。

そもそも作りがシンプルなので、案外清掃をされてきている気が。
レンズの汚れや傷が多くなければそれなりにどれも写りそうです。

マウントについて

 

 


Canon 5DmarkⅢ(Canon EFマウント)、SONY α7(SONY Eマウント、NEXとも言う)では問題なく使えました。


近頃人気のOlympus OM-DやPEN、Lumix系はこの辺かと。
また、このOlympus OM-DやPEN、Lumix系の規格は50mmの標準画角オールドレンズは約100mmぐらいの中望遠になりますのでご注意を。

マウントはカメラによって干渉等でうまく使えないこともありますので、ご自身のカメラでの使用の参考としてください。
また初心者向きの内容で、マウントについての記事を書きました。マウントに疑問点がある方はぜひ。

フレア、ゴースト、ハレーション


これだけ昼間の光の方向へ向ければ、まあ当然ですよね。
とはいえ完全にダメとまではいえない描写かとも。
ハレーションって小さいレンズのほうが有利なんでしょうか?、、勉強しときます。

少し足りない写真の反省、分析


明暗差や、ピント面とボケの差がつけられないと、かなり凡庸な写りのレンズです。
フレームとしては好きな感じですが、このレンズの味は持ってこれない絵かと。
寄りでボケを意識したショットか、明暗差があり、暗部を軸に持ってこれるフレームがこのレンズの良さかと。

歩いた辺り

『千歳烏山』街撮りオススメ度★★★☆☆=3

今回は、前回の下高井戸から京王線を下って気になるところで降りることに。


八幡山駅は駅名通り山だったのか、駅も高台にあるようで、そのリンクがいいなとここで降りようかなと思いましたが、流石に周辺に何もないようなのでもう少し京王線に揺れることにしました。

そして次に気になったのは千歳烏山。

何より「烏」なのか「鳥」記憶に刷り込まれやすい名前です。


駅周辺ざっと歩くと、店や施設等多く住むには便利そうですが、街撮りには余り向かないタイプの駅ではあるでしょうか。


ですが、案内板で面白そうなものを見つけました。
どうやら駅から少し歩いたところにお寺が集まっている一画があるようです。


交番が通り名になっている平和な感じのあたりでバスを待ってたら、バス停少し前で左に曲がって行きました。
どうやらバス停を間違えたよう。


次のバスまで時間があったので、バスの経路を歩いてみることにしました。タイミング合えば乗ればいいかなと。

そしたら気になるパン屋が。

お店の休憩時間を撮ったためシャッター閉まってます

パン屋にしてはスカスカの棚。
しかし間違いなく営業はしている雰囲気のパン屋。

何より入り口付近に、写真スタジオだったみたいなことが書いてあり、明らかにフィルムで古い写真も飾ってありました。

何よりちょっと小腹も空いてたので試しに店内に。

「そのレンズはトリオって事は、三枚玉だな。」
と、明らかにカメラ通しか知らない話が。

聞けば、学生時代から写真をやっていてフィルムのカメラ等々たくさん持っているよう。30、40分ぐらいでしょうか、話し込んでしまいました。

こういう出来事があると、益々街歩きしたくなりますね。
別のレンズを持ってまた千歳烏山にも来る理由ができました。


さて、千歳烏山の観光というとココ「瑞泉山高源院」が有名なようです。
千歳烏山駅から一番遠いところだったので、歩いて行く場合は注意が必要です。
似たようなお寺ばかりでちょっと分かりづらく「通り過ぎちゃったかな?」ってあたりです。


橋の上では門番のような鳩がお出迎え。というより見張りのように、ここにいる間ずっとついて来ました。
単に人に慣れて餌をもらうためだったような気がしますが、池に雰囲気があるので、門番ということで。


池はカメだらけです。この写真に見える丸いもの10個ぐらい全てカメです。
それがこの池だらけ。あと少しの鯉といった感じ。


あと何の鳥でしょう?渡り鳥のような大きな鳥もいました。
ここのお寺を最後にあとは住宅地なので、遠景が家なのがちょっとシュールな場所です。


そのまま久我山駅まで歩き、駅前のレトロな雰囲気のお店のカレーの看板に惹かれました。


昭和の雰囲気満載の喫茶店の手づくりカレー。
玉ねぎがかなり溶けてるような、まろやかな味わいでした。


薄暗い店内ながら、大きな窓から光が横から入って落ち着いた雰囲気。
オールディーズが流れる店内で珈琲を頼んだら、日暮れまでポーッとしてしまいそうな落ち着くお店でした。


そんな訳で今回は井の頭線久我山で終了。
結構歩きました。

撮影カメラ情報

Canon 5D markⅢ

BL6A1471
カメラは5DmarkⅢ、画質はraw非圧縮撮影のみでjpgを残してません。
またカメラのモニタでの確認って、画面が小さい分、写真がギュッとなってしまってアテにならないことが多いので基本的に露出の確認にして、構図などはファインダーで見ているフレームを大切にするようにしています。

Raw現像

現像はAdobe BridgeCC2017で、レンズの特性を写真に残したいので、調整は露光量で明るさを揃える程度に留めています。

絞り

比較的ボケが使いやすいTrioplan 50mmなので、開放F2.9〜F4.0あたり多めに使ってます。絞りたい時はF8で一択な感じです。

シャッター速度

天気もよかったので基本的に1/1000ぐらい。
F8.0に絞った時は1/400ぐらいの時もありました。

ISO

オールドレンズのためカメラの露出測定は絞りに応じてかなり曖昧なので、撮ってみて合わせる感じです。
開放気味だとカメラが示す適正露出より高くしないとダメなことが多いです。

ホワイトバランス

外は最近ほとんど「オート」です。

補足

Trioplan 50mmは去年、EXATAマウントのレンズでも記事を書いています。
バブルボケを標準画角で手軽に楽しむ!光の違いをワガママに表現する
比較的バブルボケはこの時のほうがうまく出せているかと思います。

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